ガイア最新話感想


第7話

地球の洗濯

放映日

1998年10月17日

登場怪獣

自然コントロールマシン
テンカイ


脚本

吉田 伸

監督

児玉 高志

特技監督

佐川 和夫


ストーリー

とあるビルのフロアを清掃中の作業員が、ふと外を眺めると空からビルめがけて飛んでくる物があった。
その物体は、ビルを直撃した!

エリアルベースの艦長室では、千葉参謀と石室コマンダーが茶の湯を行っていた。
千葉は石室の点てたお茶を飲み終わった後に、こう言った。
「コマンダー。奇しくもアルケミースターズの光量子コンピュータが予測したとおり、怪事件が起き始めた。
 その時のために備えていたとはいえ、私は正直戸惑っているよ。」
その言葉を聞いて、石室はこう返した。
「一時に多数の天才が生まれ、同じくして怪獣達が出現しました。
 もし、世の中のすべての物事が均衡の上に保たれているのならば・・・。」
その言葉に驚いたように千葉はこう言った。
「君は、アルケミースターズの存在が怪獣達を・・・。
 彼等はGUARDの設立に大きな役割を果たしたのだぞ。」
「はい、彼等は人類にとってなくてはならない存在です。」
「・・・矛盾だな。」
「はい、私のような一指揮官の考えが及ぶものではないのかも知れません。
 今は無心になって目の前の的を砕く。それが何かの答えを出してくれると信じています。」
「なるほど・・・。」
千葉は壁に掛かってる「無」の文字をみて、しかし、戸惑ったようにそう答えた・・・。

我夢はコインランドリーで洗濯が終わるのを待ちながら、先日マコトに設計図を見てもらった
「リモートフライングシステム」を組み立てていた。
「よし、これをつなげば自動遠隔操作はバッチリだ!」
我夢は部屋へと戻り、洗濯物をたたもうとした。
その時、「ダメッ!」と叫びながら敦子が我夢の部屋へ飛び込んできて、我夢を突き飛ばした。
我夢は布団の上へ倒れ込んだ。敦子は、我夢の持ってきた洗濯かごの中の洗濯物を放り投げた。
「あったぁ。」敦子は安堵の声を上げた。敦子は我夢の洗濯物の中から、自分の下着を見つけたのだった。
「何だよ、いきなり。」と言いながら我夢が布団から立ち上がると、敦子は自分の下着を後ろ手に隠し、
「ちゃんと確かめてよね。私の持ってってどうするつもり?」と怒った。
そして、我夢の部屋を見回しこう言った。
「だいたいね、なによこの汚い部屋。ちゃんと片しなさいよね!」
我夢は、部屋の物を触った敦子に言った。
「さわんないでよ、この散らかり方には意味があるの。
これでも僕はどこに何があるのかちゃんと分かっているんだ。」
その時、ナビの呼び出し音が聞こえてきた。我夢は部屋の中をあちこち探したあげく、
敦子にナビを一緒に探すように言う。敦子は呆れたように「あのね!」と言った。
「あった!」我夢はようやくナビを探し出した。ナビで我夢を呼び出していたのは堤チーフであった。
「何をしている。何度も呼んでいるんだぞ!」堤は軽く我夢を怒った後、横浜に隕石が落ちたらしい
ことを伝えた。
我夢は「XIGファイターEX」に「リモートフライングシステム」を取り付け、
横浜の現場へと向かった。
現場へ向かう途中、ファイターに揺れを感じていた。敦子からの連絡では、台風の影響だということであった。

横浜の現場へ到着すると、そこではジオベースの樋口が調査を開始していた。
我夢は隕石を樋口と調査するため、樋口の車でジオベースへ向かうことになった。
車に乗り込もうとしたその時、我夢の心の中に呼びかける声があった。
感じる方向を見ると、藤宮博也がいた。
我夢は、樋口にすぐ戻ると告げ、藤宮のところへと行った。
「藤宮・・・君」
「少しは気が変わったと思ったが、君はまだあの仲良しグループにいるのか。」
博也のその言葉に、我夢はこう言った。
「君こそ、どうして僕らの前に姿を現さないんだ?僕たちと一緒に地球を救う手助けを。」
「我夢、目の前の敵を倒すだけじゃダメなんだ。自分の力をもっと有効に使うべきだよ。
 早く目を覚ましてくれよ、我夢。」
博也はそう言って我夢の肩を叩き、我夢の後ろの方へと去っていった。
我夢はすぐに後ろを振り向いたが、博也の姿はすでになかった・・・。

樋口は我夢をジオベースへと連れていった。
我夢は、ジオベースがガードの秘密基地と言うことで胸を躍らせていたが、
到着したのは「XIG 港湾第7資材置き場」と呼ばれた場所であった。
質素な感じの秘密基地にがっくりしていた我夢に樋口は、
「秘密基地なんて、こんなもんですよ。」と言った。
しかし、資材倉庫内のエレベーターに乗って地下へ降りると、
ハイテクを駆使したエレベーターが何基も配置された巨大なチューブが
地下深くまで繋がっていた。
驚いている我夢に、樋口は言った。
「ジオベースは地球防衛の頭脳中枢なんです。」

樋口と我夢は隕石の解析に入った。
しかし、それは地球のものではないが、焼けた後がなく隕石ではなかった。
我夢は、落下地点とその物体がぶつかったビルの穴とのラインをのばし、大気圏内のラインで
放物線を描き、発射された場所を特定した。しかし、そこは太平洋の海の中であった。
その時敦子から、連絡が入った。台風が関東方面に向かってきているので早く引き返した方が
いいというのであった。
台風という言葉にピンときた我夢は、台風の経路と比較してみた。物体が発射されたと思われる
時間に我夢の特定した場所には、台風がそこにいたのだった・・・。

我夢はXIGへと戻る途中、勢力の強い台風の真上から台風の目を覗いてきた。
帰還した我夢は、石室コマンダーに台風の目に異常があることを知らせた。
通常「台風の目」と呼ばれる中心部分は、渦の遠心力の働きで風の穏やかの場所であるが、
我夢の見た台風の目は、黒雲に覆われ、膨大なエネルギーが発生していた。
しかも、なぜかレーダーが妨害され膨大なエネルギーの発生源は近づかないと分からなかった。
その時、アルケミースターズのダニエル議長から連絡が入った。
我夢が採取した大気をアルケミースターズで分析し、その結果を知らせてきた。
その結果は驚くべきものであった。
なんと台風の通過した後の大気は、フロン、メタンなどの有害成分が急激に減少していた。
このまま台風が続くとすると、後半年で地球の大気は完全に浄化されるともいうのだ。

敦子は、気象衛星の映像に異常があることを石室に伝えた。
その台風の映像は、まるで悪魔が笑みを浮かべているようであった。
石室はつぶやいた。
「この台風は作られた物なのか・・・。」
石室は堤に、チームライトニングをXIG司令室へ呼ぶよう指示した。

XIG司令室では、台風の目の底にあるものを攻撃するための作戦会議が開かれていた。
会議の結果、ライトニングの梶尾リーダーが提案した案が採用され、
その作戦は梶尾リーダ自身が行うこととなった。
その作戦とは、台風の無風地帯を使いファイターがV角で侵入し、台風の目の底にいる
敵を攻撃し、急上昇で脱出するというものであった。
ファイターの降下距離が10,000フィートで、敵がいると思われる地点ギリギリであり、
また上昇時のGがかなり強いため、パイロットに対する影響が心配されたが、石室は熟考した
末に作戦遂行の指示を出した。
梶尾リーダと我夢は、それぞれファイターSS、EXへと乗り込み、台風の目へと向かった。
また、ピースキャリーは成層圏付近で待機する事にした。

我夢と梶尾は現場へと到着した。
我夢は、梶尾に敵が確認できなくても10,000フィートまでで引き返すように念を押した。
そして、梶尾は我夢へと敬礼をし、台風の目へと入っていった。
高度がどんどん下がって行くが、敵は見えなかった。そしてついに10,000フィート以下になり、
我夢は梶尾に戻るように指示した。しかし、梶尾はそれを無視してさらに奥まで降りていった。
そして、底の黒雲で敵が黙視できないままに梶尾はミサイルを発射し、急上昇でなんとか台風から脱出した。

梶尾の攻撃によって台風は消滅した。
だがその中から、見たこともない機械が出現したのだ!
その機械には、絵が描かれていた。
石室はそれをXIGのモニターで見ていた。そしてこうつぶやいた。
「てん・・・かい」
天井の世界、天界。
石室にはそれが部屋に飾ってある「無」という文字のある
篆書体の文字に似ていると思ったのだった。

我夢は、その「テンカイ」に欠けている部分を見つけた。
横浜まで飛ばされてきた破片は、テンカイのものであった。

テンカイは房総半島南部に落下し、暴れ始めた。
テンカイは台風により地球を洗濯し、今度は地上に降りて掃除をしているようであった。

我夢はファイターEXを自分のつけたコントローラーで自動操縦モードにし、
ガイアへと変身した!
テンカイは白い煙を吐き出しながらガイアへと攻撃を仕掛けた。
ガイアはその煙の渦に巻き込まれ消えてしまった!
テンカイが再び空中へと飛び上がったその時、ガイアはテンカイのいた地面の下から
現れドリルのように回転しながらテンカイを貫きいた。
そしてその中から取り出した動力源のようなものをテンカイへと投げつけ破壊したのであった!

XIGへ戻ったメンバーは、テンカイの破片を見ながら話をしていた。
我夢は、テンカイは地球を洗濯、掃除し、そして侵略者の食料または新しい生命体の種を
誰かが蒔こうとしているのではないかと言った。
その言葉に、千葉参謀は驚いたが、我夢はそれは自分の妄想だと言った・・・。

我夢と石室は窓から夕日を眺めていた。
石室は我夢にこう言うのであった。
「俺は、テンカイが地球を浄化していると聞いたとき、おまえが攻撃に反対すると思っていた。
 おまえには、あの機械を作ったやつの気持ちが分かるんじゃないのかと。
 例え人類が犠牲になったとしても、環境が戻った方が地球のためになるとな。」
「それは!」
「違うのか?」
我夢はそれ以上何も言わなかった。
石室は不敵な笑いを浮かべ立ち去っていった・・・。


感想

今回は、この時期に合わせてなのか、台風のお話でした。
そして、(先行放映地域では)台風が日本へ上陸する日とぶつかり、なにか怖い物を感じました。
脚本はダイナでも4本の作品を手がけている「吉田 伸」さんでした。

台風というものを「地球が自然に発生させた洗濯機と掃除機」という発想でとらえ、
人工的にその「機能」を実現したものが「自然コントロールマシン テンカイ」だといえるでしょう。

人類にとっての「根源的破滅招来体」というものが、まだまだはっきりとはしないと思いますが、
今までのストーリーで、誰かが(?)地球に対して何かをしようとしてることは想像できます。
今回は、我夢の推測では、

 「何者かが地球の空気や大地をきれいにするため、テンカイに洗濯、掃除をさせ、
  食料の種または新しい生命体の種を蒔こうとしている。


のではないかということです。
今回のテンカイの行動は、人類を破滅させようとしているのではないか?ということがかなり強く感じられます。
今までのストーリーに出現した怪獣達は、その明確な行動理由が今ひとつ理解できませんでした。
ひょっとすると、第4話「天空の我夢」でKCBの田端ディレクターが言っていた、
誰かが人間の頭の中を覗いていたのは、人類を調査し地球にとって有害なのか無害なのかを
判定していたのではないでしょうか?
そして、その結果人類は不必要と判断され、今回のテンカイの行動のように、人類殲滅のための具体的な行動を
開始したのではないか。私はそんな気がしました。

石室コマンダーは「アルケミースターズの出現と根源的破滅招来体」の関係について疑問に思っているという
発言をしていました。
果たして、アルケミースターズの出現は、人類が自らを守るための防衛手段としての進化なのでしょうか?
それとも自らを破滅に導くための進化なのでしょうか?
とにかく、アルケミースターズが大きな鍵を握っていることは間違いないでしょう。

テンカイには、象形文字のようなものが書かれていました。
それは宇宙からの侵略者の文字なのでしょうか?
もしそうだとして、石室コマンダーが言っていたように「篆書体」に似ているということは、
人類が古くから、侵略者の存在を知っていて、例えばその文字を教えてもらったか、
あるいは目撃したのでしょうか?
また、実はテンカイは古代人が作り出したもので、その古代人は地球外からきた生命体で・・・。
謎は深まるばかりです。

しかし、千葉参謀と石室コマンダーの「イスに座っての茶の湯」、怪しかったですねぇ(^_^;)。
とはいうものの、堅苦しいと思われていた「茶の湯」が、現代的な考えを取り入れ、イスに座って
行われるのは、非常にいいことだと私は思いました。最近は、こういったやり方もあるのでしょうか?
昔の文化をそのままの形で取り込むのではなく、その時代にあった形でその「精神」を受け継いでいく。
文化の進化」を見たような気がしました。

今回のメインは(?)なんといっても「敦子ちゃんの下着」でしょう(^_^;)。
しかし、どうやって我夢は敦子の下着を持って来ちゃったんでしょうか?
よくある、敦子が乾燥機の中の洗濯物を全部取り出していなかったとか・・・?
それにしても、水玉のかわいい・・・(へんたいオヤジモード(^_^;))。

そして、「リモートフライングシステム」によって、我夢がガイアに変身してもファイターEX機は
誰にも疑われずに空を飛ぶことができるようになりました。
・・・しゃべってましたね(^_^;)。ひょっとして、誰かが通信で話しかけてくると、それにも応答する
優れモノだったりして(^_^;)。

最後に、我夢と石室コマンダーが、夕日を見ながら話をします。
石室コマンダーは、我夢に対してこう言います。

俺は、テンカイが地球を浄化していると聞いたとき、おまえが攻撃に反対すると思っていた。
 おまえには、あの機械を作ったやつの気持ちが分かるんじゃないのかと。
 例え人類が犠牲になったとしても、環境が戻った方が地球のためになるとな。


このセリフは、第5話「もう一人の巨人」で博也が我夢に対して言った言葉と似ています。
あのとき博也は、

地球にとって人類はガン細胞だよ。増殖し続け、地球を汚すだけの存在。
ウルトラマンは地球を守るものだ。しかし、存在理由を持たない人間までを救う義務はない!

といい、我夢は

違う!絶対に君の考えは間違っているぞ!!

と明確に反論していました。
しかし、今回は石室の言葉に対しては、ただ黙っていただけでした。
なぜでしょうか?
石室の言葉が、実は我夢だけではなく、アルケミースターズに対して発せられた言葉と受け止めた
からでしょうか?
本当は、我夢も博也の言葉に対して理解し始めているのでしょうか・・・。



次回予告

46億年の亡霊

ダムに、河に、カンブリア紀の怪獣達がよみがえる!
君にはやつが見えるか?


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