ガイア最新話感想

第51話

地球はウルトラマンの星

放映日

1999年8月28日

登場怪獣

根元破滅天使 ゾグ
破滅魔虫 カイザードビシ
地球怪獣達!


脚本

小中 千昭

監督

村石 宏實

特技監督

佐川 和夫


ストーリーのみの掲載です!

ストーリー

作成

くらむぼん



藤宮はプロノンカラモスに居た。アグルの光を失い闘う術も見つからないまま、アグルの光を
授かった場所で、じっとプールに満たされた超純水を見つめていた。その時、プールの底で
何かが輝いた。
「チェレンコフ光よ。」かすかな光を見つめる藤宮の側に、今は亡き稲森京子が現れた。
「稲森博士・・・」
「どんなに空がイナゴで覆われようと、宇宙からニュートリノは降り注いでいるわ。
 地球は一人ぼっちじゃない・・・、広大な宇宙と地球は、繋がっているの・・・」
「待ってくれ!」藤宮は、消えてゆく稲森に、手を差し伸べて叫んだ。

「地球の怪獣は、太陽の輝きを持っている・・・
 !、我夢達に、もう一度、光をあげられるかもしれない。」
GUARDアメリカ司令部のモニタで、空にマグマを吐くシャザックの親子の姿を見ていたキャサリン
が、何かを思いついた。

プロノンカラモスへやって来た我夢が、ニュートリノ発生装置を前に、作業している藤宮の元へ
駆けつけた。藤宮は、稲森博士の言葉をヒントに、ニュートリノによる通信を実現させようと
していた。ニュートリノは、地中を貫く素粒子だ。地球自体を媒体として通信をしようとして
いるのだ。そこへ玲子、田端、倫文も駆けつけて来た。彼らは、決して諦めない二人の姿を、
世界中の人々に伝えようと、彼らにカメラを向けた。藤宮は、クリシスへログインし、光量子
ネットワークを復活させる。

そのTV中継で、我夢が、藤宮とともに生きていたことを知り、ジオベースのXIGスタッフ
達は歓喜した。ジオベースの通信も復旧し、喜ぶジョジーや敦子。そこに、GUARDアメリカの
ダニエルから通信が入った。“ファイターで闘って来た、XIGの技術と経験を生かし、協力
して欲しい”というダニエル。
キャサリンは、プロノンカラモスの我夢と藤宮に、“あなたたちに地球の光を戻してあげる”
と伝えてきた。“どうやって!?”と聞き返す藤宮にキャスは言った。
「ものすごく無茶な方法で。でも、やるしかない。」
そう、やるしかないのだ。怪獣達は、体中を魔虫に覆い尽くされ、次々と倒れていった。もう、
地球を守るものは、彼らしか居ない!

ジオベースでは、堤チーフが乱橋技師長に、推進システムのリパルサーリフトを“違う目的”で
使えるようにして欲しいと依頼していた。乱橋は技術作業員を数名集め“リパルサーフィールド”
を実装するよう指示した。杖をつき、よろける体を支えながら、乱橋も命懸けで作戦の遂行に
協力する。

キャサリンは、世界中のアルケミースターズの仲間と連絡を取り、計画を話した。その計画に対し、
“無理だ。怪獣は生きているんだ。どんなスーパーコンピュータを使っても、計算が追いつかない”
と言う仲間に、キャサリンは言った。
「マニュアルでやるのよ。全ての誘導を、ワタシ達が。
 ワタシ達アルケミースターズが、なぜこの地球に生まれたと思う?」
「僕達に出来ることを、僕達の力を信じるんだ。」ダニエルが仲間を勇気づける。

我夢と藤宮はKCBスタッフと共に、東京へと向かっていた。“地球で一緒に生きるものの力”
が、そこに集結するのだ。

ジオベースの地下格納庫では、千葉参謀、石室コマンダー、堤チーフを前に、XIGの各ファイター
チーム、ハーキュリーズ、そして敦子たちオペレータが横一列に並んでいる。
石室コマンダーが、彼ら一人一人を見ながら命令を下した。
「チームライトニング、チームファルコン、チームクロウ、そしてシーガルの神山。以上の10名は、
 これより、世界各地へのポイントに飛び、アルケミースターズからの指示を受け、作戦にあたる。」
「ハーキュリーズは、オペレーターズと共に、我夢と藤宮の援護にまわる。」
堤が指示し、千葉が皆に声をかけた。
「これが、XIGとしての最後のミッションとなるであろう。頼むぞ、諸君!」
石室が、決意をみなぎらせ言った。
「ミッションネームは、・・・“ガイア”!
 XIGファイターズ!Getローリー!!」
2機のファイターGTに乗り込む梶尾と北田、8機のノーマルファイターに乗り込むファイター
隊員達。それぞれ、奮い立つ決意を胸にして、最後のミッションに出撃していった。地下から地上
へ傾斜した発進口から、10機のファイターが、魔虫に覆われた空へ向かって飛び立ってゆく。

ミズノエノリュウがカイザードビシと戦っている東京へ、我夢と藤宮はやってきた。広い空き地
の中に立つ二人と、KCBスタッフ達。そこへ、二人を援護する為、スティンガーに乗り込んだ
チームハーキュリーズ、そして敦子にジョジーが到着した。吉田リーダーが叫ぶ。
「我夢!、“光”が届くまで、俺達が守ってやるよ!」
「お前さん、立派な奴だったんだねぇ。。。(グスッ)」志摩も我夢に声をかける。
「我夢ー! 我夢、聞こえる!?」スピーカーから響く敦子の声に、
「聞こえるって」と我夢が苦笑する。
「絶対にぃ!、絶対に、勝ってぇ!!」
「じゃないと、ワタシが、ウルトラウーマンに、なるからねぇー!」
敦子と、ジョジーらしい励ましに、KCBのスタッフ達も苦笑した。
KCBの田端たちは、彼ら二人の中継を始め、カイザードビシと戦うミズノエノリュウをバック
に、我夢と藤宮の立ち並ぶ姿を映し出した。世界中の人々に、地球と人類が“破滅”に立ち向かう
姿を伝えようと・・・。
藤宮が我夢に言った。
「俺達がウルトラマンになったら、また、あの天使ヅラした奴が来るぞ。」
「今度は負けない!“ここ”は、僕が最初に“自分の意志で”ウルトラマンになった場所なんだ。」
ギールとの戦いを思い出し、我夢は力強く応えた。そう言えば、あの時もハーキュリーズが、
守ってくれていたのだった。
その時、一台のジオベースの車がやって来た。中から降りて来たのは石室コマンダーだった。
「世界中のお前達の仲間と、そしてXIGの仲間が、共に力を会わせている。
 ・・・必ず、生きて帰ってこい。」
石室はそれだけ言うと、再び車へと戻っていった。石室の背に我夢は呼びかけた。
「あの、どうして、どうして僕がウルトラマンだって・・・
 どうして、僕のことを、、、信頼してくれたんですか・・・。」
石室は、振り返りながら笑顔で言った。
「理由などいるか。」

世界各地の怪獣の元に到着した各ファイターは、“ミッションガイア”を開始した。バリヤの
ように、機体の下部に円形のリパルサーフィールドを展開して、怪獣の吐き出す“光”を、
その機体で受け止めた。激しい衝撃に耐え、機体の安定を保つ各隊員達。そして、各担当の
アルケミースターズの指示に従い、発射角を補正して、変換した“光エネルギー”を、東京へ
向けて射出した。地球のいたる所から、“光”が、我夢と藤宮の元へ集まってくる。

暗い空の下、戦う怪獣を前に、我夢と藤宮は“光”を待っていた。
そこへ、GUARDの車に乗せられ到着する我夢の両親。少し離れた場所に、父と母が駆けつけた。
「母さん!・・・、父さんまで!・・・」
父は、いつの間にか一人の男として成長した我が子を感慨深く見つめ、母は、涙をにじませながら
“頑張れ”と親指を立てて握り締めた手を我が子に向けた。我夢も母に応えて、同じように握り
締めた拳を母に返した。
世界中の人々が、祈っていた。“光”が二人に届くことを、彼らが再び“光”になれることを・・・

魔虫に覆われた東京上空の空が、一瞬、明るくなった。
「来たぞ、藤宮!」
「我夢、行くぜ!」
二人に向かって、激しく輝く光の束が降り注いだ!光に向かって両手を差し伸べる我夢と藤宮。
その光を掴もうとするかのように、一方の手を高く掲げながら、二人は声の限りに叫んだ。
「ガイアーーー!!!」
「アグルーーー!!!」
めくらめく光の中で、二人は、天に向かって力強く拳を突き上げた。
地球怪獣達の、そして仲間達の“光”を受け、遂に、暗黒の空の下に蘇った、スプリームバージョン
のガイアとアグルV2!! 大地を跳ね上げ、両雄は、勢いよく降り立った!
ガイアとアグルは、それぞれ空へ飛び立ち、空を覆い尽くす魔虫の群れに、力の限り必殺光線を
放ち続けた。ウルトラマンから放たれる強烈な光線を浴びた魔虫の群は、連鎖的に消滅していった。
徐々に広がってゆく青空。そして“地球の力”を受けたガイアとアグルの力で、世界に青い空が
戻った。

世界各地へ飛翔していった二人のウルトラマンは、魔虫を一掃して、再び東京へと戻って来た。
その時だ、上空を飛ぶガイアの背後に、破滅天使ゾグが姿を現した。気配に振り向いたガイアを、
波動弾が襲った。地に落下してゆくガイア。しかし、ガイアは力強く立ち上がった。アグルも
ガイアと並ぶように、地に降り立った。ゾグが放つ波動弾を、ガイアのアグルの“光バリヤ”が
重なり合い、押し戻してゆく。その姿を見て、ハーキュリーズの吉田が歓喜して叫んだ。
「強ぇーぞ!今度のガイアとアグル!!」
敦子、ジョジー達も、声の限りに応援する。
並び立つガイアとアグルは、ゾグに向けて互いの必殺光線を次々に放った。クァンタムストリーム、
フォトンクラッシャー、フォトンエッジ、リキデイター、フォトンストリーム、フォトンスクリュー
・・・ありったけの光線技の数々! 悲鳴をあげ、のけぞるゾグ。そして、二人の必殺光線が、遂に、
ゾグの体を貫いた!
悲痛な叫びをあげるゾグ。その悲鳴とともに、天使のような美しいゾグの姿形が、醜い獣の姿
に変貌していった。両脇に角のようなものが張り付いた頭部は、トカゲのようで、しかもオオカミ
に似て、鋭い目が怒りに血走っている。前から見ると、巨大な肉食恐竜のようだが、横から見た
体は、長い尻尾を持った四つ足の獣だ。そして、背には巨大な羽がついている。しかも、その体
の大きさは二人のウルトラマンを、遥かに凌駕していた。その顔の大きさは、ウルトラマンより
もまだ大きい。
巨大な怪獣となったゾグの口から、波動弾が放たれた。それを、アグルの光バリヤが止め、さらに
重なったガイアの光バリヤが押し戻す。ガイアは、そのまま、巨大な敵に飛びかかっていった。
が、あっさりと手で払い落とされ、地に落ちたところを、巨大な足で踏みつけられてしまう。
地に埋まるガイア。アグルが、すかさず飛び立ち敵の足に体当たりする。一瞬、足が浮いた隙に、
ガイアは抜け出し、上空へ待避した。そのまま、ガイアとアグルは、遥か上空から敵の頭めがけて、
強烈なキックを食らわす。敵の頭の角は粉々に砕け散った。怒る巨大な怪獣ゾグは、女のような
悲鳴をあげながら、波動弾を両者へ放った。吹き飛ばされる二人のウルトラマン。
その時、ミズノエノリュウが、巨大なゾグに向かって口から光弾を吐いて闘う。しかし、ゾグの
口から放たれた波動弾を、まともに食らい倒れてしまった。怒りのガイアとアグルは、飛翔して
一直線に体当たりし、敵の喉元を貫いた!ゾグは怒りに目を血走らせ、羽を大きく広げ、ビルを
踏み潰しながら、物凄い勢いで、上空に浮かぶ二人のウルトラマンに向かって突進してきた。
両雄は息を合わせるように頷き、ガイアは地上に降り立ち、フォトンストリームの構えに入った。
上空のアグルもまた、必殺光線の構えに入った。二人の体に光が集まり、ガイアの手から、アグル
の腕から、まばゆい光線がほとばしった! その光線は交わって激しい光の渦を巻きながら、ゾグ
の体を貫いた!! 遂に、強大な敵、破滅招来体ゾグは、大爆発をおこし、その体は跡形もなく
木っ端微塵に砕け散っていった。

苦しかった闘いを終え、夕陽にそびえ立つ二人のウルトラマン。
その美しい夕焼けを背にして、ガイアとアグルは、固く手を握り締めた。二人の勇気ある闘いを、
息を飲んで見守っていた街の人々が、外に出て彼らの側まで駆け寄り、心からの声援をおくっている。
田端と倫文は、最高に素晴らしい映像を、世界中の人々に伝えることができ、歓喜し興奮していた。
我夢の父も母も、そびえ立つガイアを見て感激の涙を流していた。そして、アグルを見つめる玲子。
KCBの田端と倫文は、再び、必死にカメラをまわして両雄の勇姿を、世界に送り続ける。
玲子が、世界中の人々に語り掛けた。
「これが、地球の“光”です。
 この星には、ウルトラマンがいます。
 こんなに素晴らしい星が、破滅なんて絶対にしません!
 私達が、“させない努力”を、してゆく限り。」

-----------------------------------------------

朝焼けの海岸を、一人、藤宮は、小さな荷物を肩に歩いていた。
ふと、海を眺めた時、朝の光に照らし出されたその表情は、すがすがしく、さわやかだった。
そして、彼はどこかへ旅立っていった。

ビルに囲まれた街。その一角の広場で、ノートPCを広げる我夢。
そこは、我夢がガイアと出会い、光を得た場所だ。石畳の上には大きなサークル模様が描かれている。
ディスプレイに映し出された“PAL”が、我夢に呼びかける。
「我夢、ちゃんと出席しないと、卒業できないよ。」
そこへ、マコト、サトウ、ナカジが、我夢を昼飯に誘いにやってきた。すっかり、以前の大学生活
に戻っていた。歩き出した我夢は、舗装された道に、小さな一本の雑草が、芽を出しているのに気
づいた。その草に、自分が飲んでいたミネラルウォーターを、そっとかけてやった。我夢はその時、
ビルの谷間から、ミズノエノリュウの鳴き声を聞いた気がした。そう、確かに地球は生きているんだ!
我夢は、青空を仰いで、この地球を愛しむ気持ちを素直に叫んだ。
「そうなんだ、、、これが、、、これが、地球なんだ!!
 おおぉーーーい!!!」

                                        


ウルトラマンガイアファンのホームページへ