ガイア最新話感想


第50話

地球の叫び

放映日

1999年8月21日

登場怪獣

根元破滅天使 ゾグ
破滅魔虫 カイザードビシ


脚本

小中 千昭
長谷川 圭一

監督

村石 宏實

特技監督

佐川 和夫


ストーリーのみの掲載です!

ストーリー

作成

くらむぼん


「神々しい姿だ・・・」千葉参謀が言った。
「我々の味方なんでしょうか?」堤が言う。
石室は黙ったまま、モニタに映る、その“天使”を見ている。

天使が手をかざすと、いつのまにか半魚人は消えてしまった。
ガイアとアグルは、舞い降りた“天使”を見上げ、思わず一歩前に歩み出る。
その“天使”が、やさしくその手を向けた時、アグルの体は、一瞬、青い波動に包まれた。
そして、我を忘れたかのように、アグルは、その天使に向かって近づいていった。
それを見ていた玲子が叫ぶ。「危ないっ!!!」
その天使は、両手で包み込むようにようにして持った、球状の波動を、近づいてくるアグルに向かって押し出した。
波動弾は、猛スピードでビルを突き抜けてゆくが、その威力は全く衰えず、アグルの腹に直撃した。くの字になって
後ろ向きに、数百m以上吹き飛ばされるアグル。両脇に立ち並ぶビルを必死に掴み、止まろうとするが、凄まじい
波動の威力に、指で掴んだ個所がえぐり取られるだけだ。ようやく止まったと思った瞬間、天使の指の動きに合わ
せて、アグルは上空に浮かべられ、さらに、地上へ叩きつけられてしまった。
「藤宮くーーーん!」玲子の悲痛な叫びが響く。
“天使”かと思った相手は、破滅招来体の刺客:根源破滅天使ゾグだった。
「ンフフフ。。。」ゾグは怪しく笑みを浮かべて、笑い声をあげた。まるで楽しんでいるかのようだ。
ガイアは、怒りの拳を振り上げ、地を蹴散らしながら、空に浮かぶ巨大なゾグに向かっていった。ジャンプし、
ゾグに飛び掛かるが、ガイアもまた、波動弾を受け、地に叩きつけられてしまう。
TVを通して、圧倒的な力の差を見せつけられた人々は、不安と恐怖にかられていった。
「アハハハ・・・」ゾグは美しい女の声で高笑いすると、指から光線をガイアに向けて放った。ファイティングポーズ
をするガイアを、その光が、一瞬包み込んだ。そして、ゾグの指の動きに合わせて、アグルと同じように、上空へ
浮かべられ、そして、地に叩きつけられた。地下までも、体がうずまったガイア。そのライフゲージが、アグルの
ライフゲージと共に、赤く点滅した。しかも、まるで、“動悸”のように、不規則に点滅している。
「ガイアのエネルギーが!」ジョジーが、
「光が、光が消えてしまう!」敦子が、叫ぶ。
再び、ガイアに向かって、ゾグは指から光線を放った。しかし、そこへ、ガイアを守るように飛び込んできたアグルが、
自らの体で光線を遮り、右拳を突き出したファイティングポーズで、ゾグに向かってジャンプした。胸に光線をまとも
に食らいながらも、少しずつ押しもどし突き進むアグル。
その姿をTVで見ていた男の子が、必死に応援する。「頑張れー!アグルー!」
しかし、ゾグの目の前まで来た時、アグルは既に力尽きてしまっていた。その胸のライフゲージからは、光が消え
去っていた。ゾグは情け容赦なく、アグルの腹に、再び波動弾を直撃させた。凄まじい威力で地に落下してくる
アグルを、必死に受けとめたガイアもろとも、くの字になって、背で幾つものビルをなぎ倒しながら、吹き飛ばされ
てゆく。二人の体が止まった時には、ガイアもまた力尽きていた。
そのまま、倒壊したビルに横たわる二人のウルトラマン・・・
「アハハハ・・・」ゾグは余裕の高笑いをあげた。
光を失ったガイアとアグルの体から、赤と青の光エネルギーが、ゾグに吸い込まれてゆく。

ジオベースのモニタに映されたTV映像を見ていた堤が、呆然とつぶやいた。
「二人のウルトラマンが、負けた・・・」
「立て! 立ち上がれ、我夢!」石室は、それでも諦めずに、モニタに映るガイアに向かって言った。

「田端さん、もう映さないで・・・」局から玲子が哀願した。
撮影を止めようとする田端を振り切って、倫文は“どんなことでも全てを報道する!それが使命!”と、自らに
ハッパをかけて、倒れた二人のウルトラマンにカメラを向け続けた。そのカメラは、ウルトラマンの姿から、我夢の、
藤宮の姿へ戻ってゆくところを映し出した。ビルの瓦礫に横たわった我夢と、藤宮・・・。
世界中の人々が、その映像を見て驚愕した。
マコトの部屋に集まっている我夢の親友たちも、信じられないといった表情で見つめる。
「我夢・・・我夢が!」サトウが飛び出していった。
我夢の両親も、その映像を見ていた。
「馬鹿な・・・、そんな、馬鹿な!?・・・」TVから一瞬、目をそむける父。
「見て!ちゃんと見て! あれは、我夢よ!
 これまで、ずっと私たちにも黙って、あの子・・・」母は倒れた我が子を、しっかりと見つめた。

ゾグは、倒れている二人に向かって、さらに波動弾を放とうとする。
「我夢ぅーーー!逃げてぇーーー!」敦子の悲痛な叫びが、
「藤宮くーーーん!」玲子の悲痛な叫びが、こだまする。
その時だ! ゾグに向かって、一機の戦闘機が飛来した。それは、我夢の戦闘機、ファイターEXだ!
千葉は、操縦者の居ないEXが飛んでいるのに驚くが、石室の他にも、ジョジーが知っていた。「PALだよ!」
我夢が創った人工知能PALが、我夢と藤宮を守る為にEXを操縦していた。ゾグに攻撃をしかけるPAL。
それに呼応して、地上へ出たハーキュリーズ達も、スティンガーからグレネードミサイルを連射させた。
攻撃の嵐に、ゾグは一瞬のけぞるが、スティンガーに向けて、目から光線を放った。
再び、旋回してゾグに向かってゆくPAL。
我夢の意識が戻り、ゆっくりと見開いたその目に映ったのは、波動弾を手にしたゾグに向かってゆくEXだった。
「PAL・・・、、、! PAL、逃げろ!!!」我夢が叫んだ。
ゾグが放った波動弾の直撃を受け、ファイターEXは大爆発し消滅してしまった。「PALーーー!」叫ぶ我夢は、
その爆風に吹き飛ばされてしまう。なぜか、ゾグは、そのまま上空のワームホールへと消えていった。
しかし、目的は達したのかもしれない。“ウルトラマンは、ただの人間だった・・・”しかも、ゾグとの圧倒的な力の
差で、ウルトラマンの敗北を見せつけられた世界中の人々は、“絶望”に打ちひしがれた。

化石のようなガイアとアグルが横たわった砂漠・・・いつか、我夢が見た砂漠・・・そこに我夢と藤宮は居た。
藤宮が言う。
「あの天使みたいな奴は、俺達を倒す為だけに舞い降りた。
 最終兵器が天使とは、奴ら、神を気取ってるつもりらしい。
 しかし・・・、俺達は勝てなかった・・・」
「負けてない! 僕はまだ・・・」
そう言いながら、我夢はエスプレンダーを見た。・・・そこから光は消えていた。そして、エスプレンダーは、粉々
に砕け散ってしまった。
「うわぁーーー!!!」
目が覚めた我夢は、反射的に、握り締めていたエスプレンダーを見た。やはり、夢と同じように、光が消えている。
しかも、ひび割れてしまっていた。もう我夢はガイアには、なれない・・・。
「おっ!気がついたな!」
「結構、元気そうじゃん!」
マコトとナカジが、気がついた我夢の所へ駆け寄ってきた。そこは、マコトの部屋だった。
「僕は、なんでここに・・・」
「サトウがさ、助けるんだって、いきなり飛び出して。」
起き上がった我夢は、アルケミースターズのネットにアクセスしようとするが、通信回線はTV以外、全て麻痺し、
全く繋がらない。藤宮の消息を尋ねたが、マコトは首を横に振るだけだった。そこへ、サトウが飛び込んできた。
「まずい!ここがバレた!」
外はマスコミが“魔虫”のように群がっていた。裏のベランダから我夢達は抜け出す。しかし、逃げる我夢達を、
マスコミの群れはしつこく追ってくる。マコトが機転を利かせて、我夢のXIG隊服を着て逃げ、マスコミを巻いた。
サトウとナカジと共に逃げていた我夢は、偶然、通りがかったKCBの車と遭遇する。玲子が「乗って!」と声を
かけた。駆けつけたマコトが、我夢に隊服を投げ言った。
「我夢!平和よろしく!!」
我夢は、走り出した車の中で、親友の言葉を噛みしめ、頷いた。

魔虫の群れが地球の空を覆い尽くし、太陽光が遮られ、生物に影響が出はじめた。気温が下がり、酸素濃度も
下がりはじめている。ウルトラマンの消えた今、人類は破滅招来体へ屈するしかないのか?

ジオベースでは、上官が、GUARDは武装を解き、市民の命を一人でも救うことに専心する“最終プログラム”に
入ると告げに来た。
「それは、各国GUARDの統一された結論ですか?」
腑に落ちず聞き返す千葉参謀に、上官は、“それ以外に、どんな道がある!?”と言う。
「敵に、命乞いをするんですね。」
率直に切り出した堤チーフに、“交渉が不可能とは限らない”という補佐官。
XIGも武装を解除するよう指示する上官に対し、石室コマンダーはきっぱりと言った。
「お断りする。破滅招来体が閉ざしたのは、太陽の光だけではありません。」
「人の心です。」千葉参謀が言葉を続けた。
石室は、上官を正視して言う。
「なぜ、敵がTV回線だけを残したのか。
 ウルトラマンの敗北を見せつけられれば、もはや、人類は絶望するしかない。
 そういう情報操作で、世界を闇に包み込む為です。
 我々には、まだ闘う力は残っています。 いや、闘う意志を、闘う“誇り”を持っています!」
「XIGは、GUARDの指揮から離れるというのかね! それは、、、造反だ!!!」
GUARDの上官は、石室の意見に憤りを現したが、そんな上官に、石室は毅然として答える。
「我々が守るのは、GUARDという組織ではありません。“地球の人々”です。」

車に同乗する我夢に、ハンドルを握りながら倫文は、カメラで映してしまったことを申し訳なさそうに謝る。田端も
同じ気持ちだ。そんな彼らに、我夢は言った。
「みんな、自分のすべき、当たり前のことをした。そうでしょ。」
その言葉に、皆の表情は明るくなった。そんなことより、我夢は、藤宮の消息を聞いた。しかし、あの時の爆発で、
我夢と共に彼も吹き飛ばされ、いくら探しても見つからなかったという。窓から、空を覆い尽くす魔虫を見て、
“生態系を窒息させ、何もかも根絶やしか・・・”と、力なくつぶやく田端に、いや、自分自身に我夢は言った。
「僕たちは、破滅する為に生まれたんじゃない。絶望する為に生まれたんじゃない。
 僕を連れてってください、藤宮のところへ! 心当たりがあるんです。。。」

ジオベースでは、堤チーフが以前、田端に言われたことを思い出し、石室コマンダーに語りかける。
「自分は前に、ある人物に問われたことがあります。
 “どんなに先端の科学でもあっても、我々の組織や装備は、元来、人と人とが争う
 戦争の為に造られたもの。その我々に、地球を守る資格があるのか”と。」
「なんと答えた?」石室が答えず聞き返した。
「答えられませんでした・・・」
じっと座って聞いていた千葉が、立ち上がって語り掛けた。
「答えは、これから出すものじゃないのかな・・・
 藤宮とかいう若者が言っていたらしいが、確かに我々人類は、この地球を大事にせずに生きてきた。
 その人類に、地球は、生きる光を与えてくれた。」

ジオベースの格納庫では、乱橋技師長を中心に、ファイター出撃の為、作業を急いでいた。
「まだなんですか!いつになったら出撃できる!」
焦れた梶尾が、北田と大河原とともに格納庫に現れ、厳しい口調で言った。そこへ、ミサイルなどを乗せた大きな
台車を、オペレータメンバーが3人掛かりで押してきた。なぜ彼女たちが?そんな視線を察して敦子が切り出した。
「通信全部ダメになってるから」「私たち失業中なんです。」「でも諦めたわけじゃないよ。」
彩香と、ジョジーが続いて言う。その言葉を聞いて、大河原も悔しそうに言った。
「俺達だって。・・・だから、早く出たいんだって・・・」
そこへ、杖で体を支えながら、乱橋技師長が現れた。
「出撃したところで、空の“イナゴ”どもを、全部蹴散らすことなんぞ出来まい。
 せいぜい後は、自分が格好つけて死ねればいい。そう考えていやしないか?」
「違います!俺達はそんなつもりで・・・」北田は否定する。
ファルコンのメンバー、チームクロウと共に、負傷した体を押して米田が現れた。
「イナゴの一部でも破ることが出来れば、戦略を掴むことが出来ます。自分達はその為に飛ぶ。」
「乱橋チーフ、ファイター絶対に落としません。」稲城リーダーが、米田の言葉に続いた。
そんな彼らに、乱橋は言う。鬼気迫るものがあった。
「落とされてたまるか!
 諦めてないのはな、あんた達パイロットだけじゃないんだ。」
乱橋は、「おぉい!」と、慌ただしく整備を続けている数十人の作業員を集めた。ハッとして梶尾が彼らを前に言う。
「忘れていたわけじゃない。。。 ファイター1機飛ばすのに、どれだけ大勢の人が働いていたのかを。
 済みません。自分達の焦る気持ちを抑えることが出来ずに・・・」
乱橋も、パイロット達の熱い心がわからない男ではない。熱い目で梶尾たちに語り掛けた。
「あと、4時間待ってくれ。最高の飛行機に乗せてやる! そうだな!」
「「「 ハイッ!!! 」」」
作業員一同、気合の入った返事を返して、持ち場へ駆け戻っていった。
皆、自分達に出来ることを精一杯している姿を見て、敦子は語り掛ける。
「我夢、みんな頑張ってるよ。。。」

我夢を乗せ、中部山岳地帯の道路を走るKCBの車。そこへ地響きとともに、激しい地震が襲った。急停車した
彼らの目の前に現れたのは、大地の中から土煙をあげ出てきた“ティグリス”だった!
「これが破滅なのか・・・」田端が絶望しかけて言う。
「違う!」我夢は、“彼ら”が地球を救う為に現れたことを知っていた。

地球のいたる所で、次々に地球怪獣たちが、岩壁から、大地から、岩を土を蹴散らし姿を現していた。ゴメノス、
ゾンネル、ギール、シャザックが咆哮する。地球怪獣たちは、口から、体から、真っ赤な火の玉を、空に向けて
吐き出した。空を覆い尽くす魔虫達が、一部分だけ丸く消滅し、一瞬、青空が覗く。しかし、すぐにまた、無数の
魔虫の群れが、その青空を覆い隠してしまう。それでも、地球怪獣たちは、諦めることなく火の玉を吐き出した。
その度に、一瞬だけ、青空が覗く。

GUARDアメリカ司令部で、現れた地球怪獣達を見るダニエルと、キャサリン。
「怪獣が、イナゴに向かって、マグマを、地球の力をぶつけている!」ダニエルが叫んだ。
そこに柊准将も居た。
「奴らは立ち上がった。自分の生まれた星を守る為に・・・。」

我夢達4人は、車の外へ出て、事の成り行きを見つめた。ティグリスの咆哮が、大地に響き渡る。
「地球の・・・地球の叫びだ!」その姿を見て我夢が言った。
そのティグリスに向かって、カイザードビシが飛来した。必死に闘うも、苦戦するティグリス。

地球の裏側でも、飛来したカイザードビシと、ゾンネルが闘っていた。モニタに映る、怪獣が必死に闘う姿を、
ダニエルが、キャサリンが、そして、以前ゾンネルとの闘いの際に多くの部下を犠牲にされ、怪獣を憎んでいた柊が、
じっと見つめる。その柊が言った。
「GUARD陸戦部隊に出動命令!」
「何の為の出動だ!?」と、問い返すオペレータの男に、柊は毅然として言った。
「地球で“共に生きるもの”の為。 対空防衛網で怪獣を支援する!」
横一列に並んだ対空防衛の戦車部隊が、一斉砲火する。ゾンネルに気を取られていたカイザードビシは、一瞬
の間に、数限りない砲弾の集中砲火を浴び、戦車部隊の方へ振り返りながら、そのまま倒れて爆発していった。

東京には、尻尾に無数の竜の頭を持ったミズノエノリュウが現れた。
「地球の怪獣・・・私達が闘ってきた怪獣たちか!」千葉参謀が驚きの声を上げる。

地球怪獣が闘う姿を見て、我夢が苦悩していった。
「こんな時に、何も出来ないなんて・・・
 僕はウルトラマンになれなきゃ、価値も無い人間だったのか・・・!?」
「高山くん・・・」我夢の後ろ姿を、じっと見守ることしかできない田端。
しかし、我夢はハッと思い直した。「藤宮!」そんなことを悩んでいる暇なんて無いのだ。気を取り直して車へと
向かい、倫文に叫んだ。「この先に向かって下さい!」
田端が我夢に向かって、聞き返す。「この先に何があるんだ!?」
「プロノンカラモス!」

次回、いよいよ最終回!!
我夢と藤宮は、再び光を取り戻すことができるのか!?
地球の運命は!!

次回予告

地球はウルトラマンの星

ついに迎える究極のクライマックス!
地球は再び光を取り戻すことができるのか?
ミッションネームは『ガイア』!


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