ガイア最新話感想

第49話

天使降臨

放映日

1999年8月14日

登場怪獣

破滅魔虫 カイザードビシ


脚本

吉田 伸

監督

村石 宏實
八木 毅

特技監督

村石 宏實
八木 毅


ストーリーのみの掲載です!

ストーリー

作成

くらむぼん


街の空を"何か"の群れが埋め尽くした。ビルの谷間から見上げる空は、イナゴや鳥の大群が覆いつく
しているかのようだ。パニックし脅え逃げ出す人々。たまたま車で街に出ていた田端と倫文は、上空に
カメラを向けようとするが、群れは突如、人々の居る地上へと一直線に飛んでくる。慌てて地に伏せる
人々の頭の上を、その群れはスレスレに飛び去っていった。その中の一匹がビルの壁面にぶつかり地に
落ちる。衝撃でビルの壁面がえぐり取られるほど、その生物は硬い体をしている。田端と倫文は急いで
その生物を見に行った。それは昆虫のようでもあり、その甲殻の羽を広げると一見、鳥にも見える。
しかし、口から緑色の血を流しているその頭部は爬虫類のようでもあった。

市民には外出禁止令が出された。TV局の玲子は、外に出ている田端達に連絡を取るが、電波状態が
悪く途中で切れてしまう。田端と倫文は"こんな時だからこそ事実を報道するのだ"と、避難していた
ビルから危険な外へ出て、局の車のところまで走っていった。

------ジオベース------
“魔虫”を解剖し分析した結果、今までの破滅招来体の特徴を少しずつ合わせ持っていること
がわかった。堤チーフが千葉参謀と石室コマンダーにそのことを伝える。しかも、かつてない
程、“それ”は地球規模に発生しているのだ。オペレータの敦子、ジョジー、彩花の表情が
いつになく固い。各国のGUARDGUARD戦闘部隊の攻撃が始まるが、GUARD
オーストラリア部隊は、あまりに多い敵の数に攻撃が追いつかず、戦闘機は次々に群れに突っ込まれ壊滅
してしまった。オーストラリア部隊全滅をはじめ、各国の部隊は次々に壊滅してゆく。コマンドルームの
後ろからモニタを見つめ、戦闘機部隊の全滅を目の当たりにした梶尾と稲城は、出撃許可を求める。
しかし、堤と石室はその気持ちを制した。今のXIGには限られた戦力しか残されていない。策もなく
むやみに闘うことは許されないのだ。

そこへ、石室の指示で発生源を特定していた我夢と藤宮が入ってきた。魔虫を発生させているメイン
のワームホールが東京上空にあり、それは世界中に発生しているワームホールと繋がっていることが
わかった。石室コマンダーは、梶尾と稲城にメインのワームホールを叩くよう出撃命令を出す。出撃
するファイターGTに、GUARDアジア部隊も合流させるよう敦子に指示した。その石室に対して藤宮
が言った。
「石室コマンダー、なぜ、俺達を"兵器"として、"戦力"として扱わないんですか。
 俺と我夢の"力"を含め、作戦を立てるべきです。」
「それはできない。」と石室はきっぱりと断言した。
「俺達に頼れば、XIGの能力が疑われるからですか。」藤宮は石室の本意がわからず率直に言う。
「やめろ藤宮。」我夢が藤宮を制した。
「君たちは兵器ではない。共に戦う"仲間"だ。」
石室のその言葉に、仲間としてただの人間として見てくれることがわかった藤宮は、一瞬目を伏せて
部屋から出ていった。

魔虫の群れと暗雲で覆われた夜のように暗い空を、ワームホールへ向かって飛ぶ梶尾と稲城のファイター
GT。さらにアジア支部の戦闘機が後続している。そこへ向かって、ワームホールを覆い隠す群れから、
一塊の群れが一直線に突撃してきた。GTと戦闘機は群れの塊に攻撃を加えるも、敵の数が多すぎてキリ
がない。一瞬にして敵の突撃を受け、飛行性能に優れるGTは回避できたが、後続の戦闘機部隊は全滅
してしまった。再び、一直線の帯状となって襲ってくる群れに、梶尾と稲城は群れの周囲をらせん状に
旋回しながら突破し、遂に魔虫が覆い尽くすワームホールの前に来た。そこへ向かって、梶尾と稲城は
ビームを放つ。ポッカリと空いた空に現れたのは、とてつもなく巨大なワームホールだった。
コマンドルームのスタッフ達は呆然とする。予想外の大きさに愕然として見つめる我夢。梶尾と稲城の
GTに向かって、再度、魔虫の大群が襲ってきた。すれ違う際に梶尾機は左翼を損傷してしまう。
堤チーフから帰還命令が下され、稲城機に守られながら、2機のGTはジオベースへと帰っていった。

そっとコマンドルームを抜け出す我夢。それに気づきチラと目を向けるが敢えて行かせる石室コマンダー。
その後ろ姿を敦子も見つめていた。地下通路を厳しい表情で一人歩いてゆく我夢。その我夢に誰かが
ハンバーガーを投げた。
「食えよ。いざという時に腹が減ってたんじゃな。」微笑みをうかべながら藤宮が近づいてきた。
「そんな気分じゃないよ。」我夢は真剣そのもので、緊張した表情を崩さない。
「我夢、お前はあのイナゴを一掃しろ。その間に俺がワームホールへ突っ込む。」
「藤宮・・・」
我夢だけでなく、藤宮だって、事の重大さを認識し命を賭ける覚悟を持っているのだ。藤宮が語った。
「俺はアグルの力が戻ってから、ずっと考えてきた。
 なぜ、俺達は二人なんだ? いや、幸いにも二人居ると言った方が適切かな。
 どちらかが居なくなっても、もう一人居る・・・。」
その時、我夢を追ってきた敦子が姿を見せた。藤宮は察して先に歩いていった。敦子は我夢を見つめ、
ゆっくりと近づきながら言った。
「どうして、黙って行くのよ・・・」
「あっ、うん、、、」
「どうして、みんなに黙って行くの。。。どうして!?・・・」
「・・・ごめん。そういうの苦手で・・・。」
「ちゃんと"行ってきます"ぐらい言ってくれなくちゃ・・・
 私には、、、『頑張れ』って言うくらいしか・・・、何もできない・・・」
涙をこらえながら潤んだ声をつまらせた。敦子は、胸に溢れる想いに、たまらず涙を
こぼしうつむいた。そんな敦子を見て、ハッと彼女の気持ちに気づく。
我夢はその気持ちに応え、しっかりと敦子を見つめて、微笑みかけながら言った。
「"敦子"・・・行ってくる。」
その言葉に、涙あふれる顔を上げ、しっかりと我夢を見つめながら敦子はうなずいた。そして、我夢は
敦子に背を向け、藤宮と共に歩き出した。その後ろ姿を見送る敦子。
「最後かもしれない。よく味わえよ。」藤宮が我夢に言う。
「ああ。」我夢もその意味を噛みしめて応えた。
二人は、地球を守る為に、人々を守る為に、そして大切な人を守る為に、帰れないかもしれない闘いに挑む。
空を覆う魔虫の影響で電波状態が劣悪になり、あらゆる通信回線がダウンした。ジオベースとアルケミー
スターズのダニエルを結んだ通信回線も、ひどいノイズで会話中に切れてしまう。しかし、TVの周波数
帯だけが、なぜか唯一生きていた。怪訝そうな表情で、石室はそれが何を意味しているのかを考えていた。

街にはホログラムのように半透明な、半魚人に似た怪物がいたる所に数多く出没していた。田端と倫文の
乗ったKCBの車も囲まれて立ち往生している。彼らはその映像を中継しようとするが、田端が車の中で
見たTV報道は、"パニックに陥る人々の暴動"や"韓国GUARD戦闘機部隊の全滅"といった人々の
絶望を煽るような報道ばかりで、田端は絶望をさらに助長してしまうと中継を取りやめた。その時、子供
の叫び声が聞こえ、急ぎ車から飛び出した田端は、公衆トイレの陰で脅えたようにしゃがんだ男の子を見
つけた。半魚人のような怪物が、ノソノソ近づいてくる。「わぁー!」男の子は脅えて顔を覆う。
「どうしたんです!」
子供の悲鳴を聞いた我夢と藤宮が駆けつけた。すると、怪物は消えてしまった。
「ねえ、どうしてウルトラマンは来てくれないの?」男の子は、我夢と藤宮に尋ねる。
「安心しろ。ウルトラマンは必ず来るよ。」しゃがんで男の子に話し掛ける藤宮。
男の子を田端に頼み、ワームホールの方へと歩いてゆく我夢と藤宮。
「君たちは!?」意を決したように歩いてゆく彼らに、田端が言った。
二人は立ち止まって振り返ると、我夢が言った。
「僕たちは、自分の出来ることをする為に!」

暗雲に覆い尽くされた空。ギリシャ神殿につづく石畳を模倣したような広い道を、ゆっくりと並び歩く
二人。立ち止まった我夢と藤宮は、暗雲怪しくうごめく空を見据えた。エスプレンダーに輝く光を見て
我夢が言う。
「光が・・・地球が弱っているんだ。」
藤宮が、我夢を見て言う。
「お前が居なければ、俺はここに居ることはなかった。
 悪い意味じゃない。
 俺は今、お前とここに居ることを"誇り"に思っている。・・・感謝している。我夢。」
「僕だってそうさ。 行こう!!!」
決意のせいだろうか、悲壮感なく澄んだ目をした我夢。うなずく藤宮。二人の周りをいつの間にか
『光』がつつみ込んでいた。そして二人は、それぞれの光を解き放った。
「ガイアーーー!!!」
「アグルーーー!!!」
赤と青の閃光がきらめき、次の瞬間、上空にガイアとアグルの姿が現れた。ワームホールへ向かって
飛び立ってゆく二人のウルトラマン。

田端と倫文に自宅へ送られた少年は、並んで飛び去ってゆく二人のウルトラマンを見て叫んだ。
「ガイアー!アグルー!頑張れぇーーー!!!」
田端は少年にTVをつけたらウルトラマンが映っている筈だと言い、車に戻っていった。
「あいつらだけが、絶望した皆に希望を与えられるんだ。俺達の為に命を賭けてくれるやつらを、
 そんなやつらを撮り損なったら、一生後悔するぞ!」そう田端は倫文にハッパをかけた。

ワームホールへ近づいた二人のウルトラマンに向かって、魔虫の大群が襲いかかる。ガイアは両手から
光弾を放って迎え撃つが、敵の数には焼け石に水だ。構わず群れの中を飛ぶアグルは、全身を魔虫に覆い
尽くされて地上へと落下してしまった。何とか振り払おうと転げまわるが魔虫はしつこく離れない。
アグルは腕をクロスさせて、光エネルギーを全身から一気に放ち魔虫を取り払った。地上へ落ちたガイア
も同じように魔虫を取り払う。そこへ魔虫の大群が降りてきたかと思うと、一瞬のうちに一体化した破滅
魔虫カイザードビシとなった。ウルトラマンに向けた頭部のてっぺんにある口は垂直に裂け、どことなく
魚の頭に似ている。さらに無数の小さな複眼と大きな一つの目がある。一体になっている頭と胴はブーメ
ラン型にしたカブト蟹のようで、それが垂直に立っているようだ。足の膝にも目のようなものが怪しく光
っている。ガイアとアグルは、カイザードビシに向かってゆき、協力して闘う。アグルが押さえつけ、
ガイアはパンチやキックを繰り出す。しかし、敵の腹にあるもう一つの口が開き、うつぼのような長首の
頭が出てきてガイアの腹に噛みついた。

闘う二人のウルトラマンにカメラを向ける倫文。襲い来る魔虫に消化器で応戦して倫文を守り映像を送り
続ける田端。TV局にいる玲子は、その映像が田端からのものだと気づき、至急、中継を報道することが
決まった。

アグルは青光の剣で、ガイアに伸び噛みつく長首を叩き切り、苦しむガイアを救った。今度はガイアが敵
にフォトンエッジを放つ。カイザードビシは、木っ端微塵に爆発し消滅した。

TV局から、玲子は闘うウルトラマンの映像を報道する。
「只今、緊急映像が入りました。
 地球を救う為に、ガイアとアグルが、二人のウルトラマンが出現しました。
 ウルトラマンが居る限り、地球はきっと大丈夫です。
 だから皆さんも、"希望"を捨てないで下さい。」
ガイアとアグルの勇姿がTVに映し出され、それを見た人々が歓喜の声をあげた。田端らに助けられた男
の子も、我夢の親友達も歓喜して見ていた。そして、祈るようにして見つめる敦子がいる。

TVに映し出された二人のウルトラマンは、ワームホールへ向かって飛び立とうとするが、なぜか、驚い
たように視線を空から地上へと戻した。無限の数の魔虫が新たに合体して、カイザードビシが現れたのだ。
再び、敵に向かってゆくガイアとアグル。しかし、ガイアの背後にさらにもう一体のカイザードビシが現
れ、ガイアの首に腹の口から伸びる長首を巻きつけた。再び助けようとするアグルにも、もう一体から
長首が伸び首に巻きついた。背を合わせ並ぶウルトラマンを、二体のカイザードビシが挟みうちして苦し
める。しかし、ガイアとアグルは息を合わせて、同時に同じ方向へ走り、伸びた長首に引っ張られ一個所
に固まったカイザードビシに、間髪入れず必殺光線を放った。ガイアの腕からクゥアンタムストリームの
赤い光線が、アグルの腕から青い光線が、一直線に二体の敵を貫き粉砕した。これで終わりかと思った
次の瞬間、再び無限の魔虫が一体化し、今度は三体のカイザードビシが二人の目の前に現れた。
「これでは切りが無いぞ・・・」ジオベースの千葉参謀がモニタに映る敵を見てつぶやいた。
三体の敵は頭部の一つ目と両膝の目から、一斉に二人のウルトラマンに向かって光線を放った。爆発に
吹き飛ばされ倒れるガイアとアグル。遂に、ライフゲージも赤く点滅を始めた。
「我夢・・・」敦子が涙を浮かべながらモニタを見つめる。
「立って、立ち上がって・・・、立つのよー!」局で映像を見つめる玲子が必死に涙をこらえ叫ぶ。
その時だ!
暗雲たれこめる空から光がさした。光に貫かれた三体のカイザードビシは一瞬で消滅する。
そして、めくらめく光が空から地上にゆっくりと降り注いだ。その光の中に、"何か"が降りてくる。
それは、まばゆいほど美しく輝く光の翼をもった、まるで天女だった。全身は一点の汚れも無いかのよう
な白い肌が金属のように輝いている。無機質的な表情は、微笑みをたたえているようにも見える。
上空に突如として現れた"それ"は、TVを通じて世界中に映し出された。人々は、その映像をあっけに
とられながら見つめる。その"天女"を見上げる二人のウルトラマン。それは二人のウルトラマンに向け
て光を放った。すると、赤く点滅をしていたライフゲージは、青い輝きを取り戻した。
「あれは・・・」ジオベースの千葉が戸惑いながら言う。
「天使・・・!?」ジョジーが半信半疑で言った。
何か腑に落ちないという表情で"天使"を見つめる石室コマンダー。黙ってモニタを見続ける敦子。
ガイアとアグルは、光につつまれ天から舞い降りた"天使"を、戸惑いながら見つめ立っていた。


次回予告

地球の叫び

天使の浮かべる微笑みはいったい何を意味するのか?
絶望の中で人類が見たものは?
大地が雄叫びをあげる!
奇跡よ起これ!


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