ガイア最新話感想

第48話

死神の逆襲

放映日

1999年8月7日

登場怪獣

破滅魔人 ゼブブ


脚本

川上 英幸

監督

北浦 嗣巳

特技監督

北浦 嗣巳


ストーリー

作成

くらむぼん


全乗組員を退艦させ一人艦橋に残った石室は、地球とモノポールの怪獣モキアンに捕らえられたガイアを救う
為に、エリアルベースをモキアンめがけて突撃させた。大きく開かれたモキアンの口へとエリアルベースは
激突し、大爆発と共にモキアンを消滅させた。そして、その炎の中で石室コマンダーも・・・。
ピースキャリーの中から一部始終を見つめていた堤、敦子、ジョジー、梶尾、米田、稲城は、石室の壮絶な
最後を見て絶叫した。その時、炎に包まれる艦橋から地上へと、赤い光が一瞬、猛スピードで飛んでいった
のを彼らは知らない。
赤い光は、東京湾を臨む空き地へと降り立ち、石室を抱きかかえた我夢の姿となった。
「コマンダー、コマンダー!」 「助けられたか・・・」
気を失っていた石室は、我夢の呼びかけに気がつき立ち上がった。
「僕のせいで、エリアルベースが・・・」
「我夢、自惚れるな。お前一人が闘ってきたわけじゃない。
 そして、お前一人が闘えば済むことでもない。
 我夢、全てを背負おうとするな。お前は・・・一人の“人間”なんだ。」
我夢は、XIGナビでピースキャリーに連絡を入れる石室の背を見つめていた。
「!・・・コマンダー、、、無事でしたか。」
堤が思いがけない奇跡に喜びを噛みしめて言った。
「ああ、二人ともな。」石室は肩越しに、背後に立つ我夢を映した。
他のスタッフたちも声を上げて喜ぶ。
石室は空を見上げXIGナビを閉じた。そして笑顔を向け、
我夢の肩を拳で軽くたたき励ましながら歩いて行った。
エリアルベースを失ったXIGは、その拠点をジオベースに移した。
街では、エリアルベース墜落の報道がビルのスクリーンに映し出され、
街行く人々は立ち止まり不安げに見上げている。
ジオベースに仮設されたコマンドルームで、エリアルベース激突の映像を見る千葉参謀、石室コマンダー、
堤チーフ、そして我夢、敦子、ジョジー。皆、沈痛な面持ちだ。破滅招来体を倒すという目的のもと結束して
いた心が、今回のような脅威を見せつけられることで皆の心がバラバラになることを、千葉と石室は心配して
いた。そして、人々が抱く失望の先には、絶望しかないと・・・。しかし、そんな今だからこそ、希望を捨て
てはならないのだ。
ブリーフィングルームでは、ファイターチームの9人がモニタに今回の事件の討論番組を映し見ている。
知識人とか文化人とか呼ばれる人間たちが徹底抗戦だの共存の道しかないだの勝手な意見ばかり机上で論じて
いるのを見て、たまらず稲城がスイッチをOFFにした。ファイターメンバー達は、言いたい放題の討論をさ
れるがまま、しかし、全てのファイターを失った自分たちには何も出来ないことに苛立っていた。
そこへ、みかんの差し入れをどっさり持ってきた乱橋チーフが入ってきた。彼は、航空力学の天才と呼ばれ、
ファイターの生みの親でもある。しかし、あと数ヶ月の命の重病を患い入院している筈だった。
その乱橋チーフが、制服を着て任務を果たしにジオベースへやってきた。以前ファイターのテストパイロット
で顔なじみの樹莉が、乱橋に駆け寄る。
「どうしたんですか!?一体・・・」
尋ねる樹莉の気持ちを知りながら、乱橋はわざと、“妹の嫁ぎ先からみかんをどっさり送ってきたんだ”と
明るく話をはぐらかした。
「あの、そうじゃなくって・・・」樹莉は、乱橋の体のことを心配しているのだ。
「あっ、もう時間だ。」乱橋は、答えずにそのまま出ていった。
重病の体をおしてまで出てきたということには、何かあると米田と梶尾は気づいていた。
しかし、それが何なのか、彼らには知る由もない。
東京湾岸部のビルが次々に爆発する。街は逃げ惑う人々でパニックになっている。
コマンドルームでは、敦子とジョジーが異常エネルギーを検知していた。堤が湾岸部緊急警戒体制の指示を
下す。そこへ石室と千葉が飛び込んできた。モニタには、破壊されたビルの上空に現れた“死神”が映し出さ
れた。その死神が不敵な笑みを浮かべながら、まるで直接彼らに話し掛けているかのように言った。
「ウルトラマンを差し出せ。フッフッフッフッフ・・・
 人類が助かる道は唯ひとつ。ウルトラマンを生け贄に差し出すのだ。
 ハッハッハッハッハ・・・」
石室は我夢に目をやる。高笑いする死神を見据える我夢は、反射的に飛び出して行こうとするが、石室は我夢
を制止した。 「行かせて下さい!奴の狙いは僕なんです!」
その時、ファイターチームのリーダー3人が飛び込んできた。構わず石室は我夢を説得する。
「策はあるのか?これは明らかな挑発だ。敵は何か罠を仕掛けた可能性が強い。」
「しかし!」石室の説得も聞かず、今にも我夢は飛び出していく勢いだ。
「冷静になれ。」このまま飛び出していっても勝算は薄いと判断した石室は、必死に我夢を制止した。
破壊されたビルの谷間を、死神へ向かって歩く藤宮と玲子。
「アグル・・・」 不敵な笑みを浮かべ藤宮を見下ろす死神。
立ち止まった藤宮は玲子の方へと振り返った。モノポールさえ扱った敵の力は未知数だ。しかし、今この闘い
から逃げることは出来ない。玲子は藤宮にやさしく微笑みながら頷いた。藤宮は玲子に一瞬微笑みかえし、
死神を見据えながらアグレイターの光を開放した。まばゆい青い光が閃光し、次の瞬間、破壊されたビルの
上空を飛ぶアグルの姿があった。アグルの手から放たれた光刃が、死神の肩をかすめる。死神は高笑いしなが
ら、醜い羽蟻のような破滅魔人ゼブブへと姿を変えた。猛スピードでゼブブめがけ飛来し、パンチの一撃を
食らわすアグル。ゼブブはたまらず吹っ飛び倒れた。立ち上がったゼブブに、アグルは間髪を入れず蹴りを
食らわす。再び倒れるゼブブ。敵を圧倒するアグルは、さらなる攻撃を加えようと近づいたその時、振り返っ
たゼブブのナイフのような右手で、右足の太腿を突き通されてしまった。血しぶきのような青い光が飛び散り、
苦悶の叫びをあげるアグル。
モニタでアグルの闘いを見ていた我夢は、思わず叫んでしまった。
「藤宮!!!」 皆の視線が、我夢に集まる。
「コマンダー、僕は行きます。」 「我夢・・・」
「策はありません。でも、あいつを僕は許せない。一緒に闘ってきた友人が苦しんでいる。
 僕は行きます。」
「我夢・・・お前・・・」信じられないといった表情で、後ろから梶尾が我夢に近く。
石室を真っ直ぐに見つめる我夢は、深々と頭を下げコマンドルームを飛び出していった。
「我夢!」梶尾が叫ぶ。 真剣な表情で梶尾は石室に詰め寄った。
「コマンダー・・・、まさか、我夢は・・・」
「ウルトラマンガイア・・・」稲城が呆然としてつぶやいた。
「そうなんですね!」梶尾の言葉に答えず、石室は黙ったままモニタを見つめた。
地上に出た我夢は一刻も早く藤宮の元へ行こうと、駆け出して叫んだ。「ガイアーーー!!!」
足から青い光の血飛沫をあげるアグルの顔面へ、ゼブブは蹴りつける。よろけた側にさらに蹴りを食らった
アグルは、たまらず崩れるように倒れた。ライフゲージが赤く点滅を始めた。いたぶるのをまるで楽しむか
のように、ゼブブはアグルへ近づいてゆく。
「やめてーーー!!!」歩道橋から玲子が叫んだ。
その時、一条の赤い光が上空から一直線にゼブブへ向かって飛んできた。ガイアの強烈なキックに、ゼブブは
吹っ飛び倒れる。ガイアは横たわるアグルに目を移し、手から傷を癒す光線を放った。アグルの傷口が癒え、
ライフゲージに青い光が蘇った。光の中に消えていくアグルを見届けたガイアは、仁王立ちしゼブブに怒りの
目を向ける。 その映像をモニタで見るコマンドルームのスタッフ達。
「我夢が、ウルトラマンガイア・・・」千葉参謀がつぶやいた。
「隊員として、そして、ウルトラマンとして・・・」稲城の言葉に、
「彼はずっと俺達と闘ってきた。」米田が続いた。
「クソッ!今の俺達は、我夢と共に闘うことすら出来ないのか!」
梶尾が無力な自分に、思わず拳を机に叩きつけた。そこへ乱橋チーフが入ってきた。
格納庫へ案内された千葉、石室、堤、そしてファイターのリーダー達は、そこに3機の新型ファイターを見た。
驚きとともに、歓喜の笑みを浮かべるファイターリーダー達。
「無理をさせてしまいました。」命をかけ新型ファイターの開発を遂行した乱橋に、頭を下げる石室。
「体にガタはきてますが、頭はちゃんと動きますから。」と、明るく答える乱橋。
従来のファイターより、飛行性能、攻撃装備が数段進歩した新型ファイターを前に、3人のリーダーの覚悟は
決まっていた。
「行かせてください!」梶尾の言葉に、石室の目で意を汲み取った堤が命令を下した。
「梶尾、米田、稲城、出撃準備!」 「了解!!!」
3人は敬礼し、それぞれ出撃準備へと向かった。
「我夢・・・、お前はずっと皆に黙って・・・。待ってろよ、我夢!」
一人廊下を歩く梶尾は、今までの我夢とのことを回想しつつ、ファイターへと向かった。
「飛べないあんたの分まで、しっかりやりあってくるよ。」
稲城は樹莉の目を見ながら語った。
新型ファイターのリーダー機に乗り込む直前の米田に、チームクロウの慧が駆け寄った。
「米田さん!・・・必ず、帰ってきて・・・。」
「チームファルコンの誇りを預ける。」
米田は左腕のファルコンのエンブレムを剥ぎ取り、慧に手渡した。必ず帰るという意味を暗に込めて。それを
胸にしっかりと握り締めた慧を後に残し、米田らは出撃していった。
ゼブブと闘うガイア。ナイフのような右手の攻撃に苦戦するも、ガイアはゼブブを投げ飛ばし、ひるんだ隙に
まわし蹴りでナイフを砕いた。しかし、焦ったゼブブは土を投げかけ、ガイアの隙を狙って蹴りを食らわせる。
倒れたガイアを羽交い締めにして額から光線を照射して苦しめる。そこへ新型ファイターがピースキャリーを
背後に現れた。 「全機、攻撃体勢!
ウルトラマンガイアを、いや、高山我夢を援護しろ!」
いつもの物静かな態度とは違い、熱のこもった堤の指示が下った。
「了解!!!」 「待たせたな、我夢!」と米田。
「我夢、今行くぞ!」と梶尾。
「あんた一人、苦しませたりしない!」と稲城。
全機、ゼブブへ向けて総攻撃をかけた。ゼブブは頭の2本の触覚のようなツノからファイターに光線を発する
が、性能アップしたファイターは難なくよける。
「簡単に落とすわけにいかないんでね!」梶尾が敵を睨みながら片方のツノを攻撃し破壊した。
米田、稲城も同時攻撃し、残ったツノを破壊した。仲間の攻撃に援護され、ガイアはクァンタムストリームの
構えに移った。3機のファイターもガイアの側に滞空し、ガイアと共に一斉攻撃を放った。
しかし、間一髪、ゼブブは電磁シールドを張り攻撃をかわす。高笑いするゼブブ。突進するガイアにゼブブは
手から光弾を放った。まともに胸に食らい崩れるように倒れるガイア。冷静に敵の弱点を分析し、目だけが
バリヤを張れないことを知った米田は、敵の上空高く飛んだ。「俺達は勝つ!」
真上から無数のビーム攻撃を食らわし、ひきつけながら間近に接近したところで、狙いを定めたビームを見事、
左目に命中させた。しかし、接近しすぎた米田は、ゼブブの手に払い落とされ炎をあげ墜落した。地上に激突
した米田機を見たコマンドルームのスタッフ達が言葉を失う。堤が、梶尾が、稲城が米田の名を絶叫した。
しかし、地に倒れた我夢は米田の命を賭けた攻撃に救われたことに気づかない・・・
敵の攻撃の手が休んだのを幸いに、力を振りしぼり立ち上がったガイアはスプリームバージョンへ変身し、
左目を失い苦しむゼブブめがけフォトンストリームを放った。ゼブブは大爆発し消滅していった。膝を落とし、
ガイアはそのまま光の中に消えた。
自分を呼ぶ声に気づいて我夢は目を開けた。梶尾が必死に呼びかけていたのだ。広い空き地に横たわっていた
我夢は、梶尾と稲城に抱きかかえられていた。
「藤宮は?」と尋ねる我夢に、稲城が彼の方へと目を向けた。
「大丈夫よ、意識を失ってるだけ。」
少し離れたところに、玲子の膝に抱かれ眠っている藤宮がいた。涙しながら玲子は我夢に微笑みかけた。
「僕たち、勝ったんですね。」我夢が梶尾たちを見て、笑みを浮かべ言った。
「あぁ・・・」二人の笑みには、隠しようのない影があった。
「米田リーダーは!?」我夢はハッと気づき尋ねる。
チームシーガルが墜落現場へ到着した。慧も同行している。米田機の機体は原形をとどめずバラバラに砕け
散っていた。まだ煙がくすぶっていた。必死に米田を探す慧は、そこに黒焦げになったチームファルコンの
ヘルメットを発見し、涙をこらえそれを抱きかかえた。ふと視線をあげると、機体の一部に隠れて米田の足
が見えた。
「米田さん!米田さん!米田さん!」慧は駆け寄って、米田の手を握りしめ叫んだ。
返事はない・・・。機体に頭を寄りかからせながら横たわる、血まみれの米田。呆然と見つめる慧の目から
涙がとめどなくあふれた。その時、慧の表情が一変した。握った米田の手が微かに動いたのだ。
「生きてるぜ・・・」
うっすらと開けた目で米田は慧に微笑みかけた。慧は涙をあふれる満面の笑顔で、預かったファルコンの
エンブレムを手渡した。シーガルのマイケルがその姿を見つけ、コマンドルームのスタッフに米田無事の
連絡を入れた。千葉が、石室が、乱橋が、敦子が、ジョジーが歓喜の声をあげる。珍しくガッツポーズを
とって率直に喜ぶ石室。梶尾、稲城にも無事の連絡が入った。飛び上がって喜ぶ我夢達3人は、晴れ渡った
空の下をさわやかな笑顔で駆けていった。

感想

作成

GEM!


「これが見たかったガイアだ!」

今回のストーリーの感想は、この一言につきます。
私は、新宿ロフトプラスワンで開催されていた「いつまでもウルトラハイ!」というイベントの会場で、
会場のみなさんと一緒に見ていました。
あの会場の雰囲気もあったのでしょうが、要所で泣いてしまいました。
ガイアを見て涙を流したのは、他には「悲しみの沼(第39話)」ぐらいではないでしょうか?


今回は、人間ドラマを見せてもらいました。
友情、愛、そして信頼。ガイアという一つのドラマの中で、このストーリーは非常に重要なものをもっていると思います。

前回からの続きでしたが、誰も死なずにハッピーエンドでした!
子供番組なので、人を死なせないようにしたのでしょうか?
私は、そうだとは思いません。人の死を描かなければいけない時はきっとあるはずです。
今回はそういうところではなかった。私はそう思います。
もちろん、ハッピーエンドであればそれに越したことはないですが(^_^;)。

我夢がウルトラマンガイア、藤宮がウルトラマンアグルであることがついにXIGのメンバーに
知られてしまいました。
ラスト3回を残して主人公がウルトラマンだと明かされ、この後の展開はどうなるのでしょうか?
我夢をウルトラマンだと知ったXIGのメンバーとの関係はどうなるのか。
今までにない展開で、非常に楽しみなところです。

ラストを目前に、新しいXIGファイターが登場しました。
なかなかかっこいいデザインだと思いました(^^)。
ガイアとの連携した攻撃、非常に迫力のある特撮シーンでしたね。

今回の特撮は、なかなか興味深いシーンがいくつかありました。
まずはアグルから吹き出した青い血しぶき(?)
そして、真下から映したシーン。
北浦監督のすばらしさを感じさせる特撮シーンでした。

米田リーダー、慧ちゃんとの愛にも決着がつきましたね。
ラストシーンでは、涙を流された方も多いと思います。
冷や冷やさせられましたよ!川上さん!(^^)

来週からはいよいよ最終3部作の開始!!

次回予告

天使降臨

地球破滅の前兆か?不気味な虫の大群が世界を覆い尽くす。
暗黒の中でガイアとアグルの決死の戦いが始まる!
燃えろ田端!


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