ガイア最新話感想

第45話

命すむ星

放映日

1999年7月17日

登場怪獣

破滅魔人 ブリッツブロッツ
地殻怪地底獣 ティグリス2


脚本

古怒田 健志

監督

原田 昌樹

特技監督

満留 浩昌


ストーリー

作成

くらむぼん


バイクを止め海を見る藤宮の元に、ジオベースの車が止まった。中から降りてきたのは我夢だった。
藤宮の頼みで、稲森博士の残した地球環境改善プランと、PERSELの最終バージョン設計図の入った
ディスクを彼に渡しに来たのだ。我夢は藤宮に尋ねる。せめて地球に住む怪獣たちと闘うことなく
PERSELを使ってコミュニケーションができないだろうかと。
しかし、藤宮はPERSELは通訳じゃない“コントロールするだけだ”ときっぱり否定した。

GAURD国際フォーラムのとある会議室
柊准将と千葉参謀が二人きりで向き合っている。
「破滅招来体への直接攻撃に失敗した今こそ、さらに強力な兵器が必要なのです。」
柊が千葉に向かって言ったその言葉に、千葉が慎重に言葉を返した。
「だが、その資料に関しては、人々の安全と地球環境保全のために細心の注意を払ってもらいたい。
 この星に住んでいるのは人間だけではないのだからね。」
「地球は人類唯一の生存圏だ。それを脅かすものは、いかなるものでも排除すべきです。」
千葉の言葉は、かたくなに自らの信念に殉ずる柊の心には届かない。その柊も自らの信念に迷いが生じたのか、
神社に足を運ぶ。清めの水をじっと見つめ何かを考えていた。そこで偶然に風水師の黒田恵と出会う。
恵は以前に、丸ノ内に現れた大地に住む竜の怪獣の心を鎮めたことがある。その恵に柊博之はGAURD士官で
あることを明かし、そして尋ねる。
「黒田さん、怪獣のために自分の大切な人が傷ついたらどうしますか?」
「怪獣を憎むかもしれません・・・でも、憎しみは新たな憎しみを生むだけです。」
「憎悪は理性を失い、判断を狂わせる・・・。私は自分の復讐のために闘っているわけじゃない。」
「それじゃ、何のために?」
「・・・守るために。自分の“大切”なものを・・・」
そんな柊を恵はどこか冷静に見ていた。

エリアルベース
夕焼けに染まる雲海を見つめながら千葉が石室に語る。
「柊が言っていたよ。“天の高みにいる人間に地上の人間の痛みはわからない”と・・・」
「地上の生活を離れてみて初めて気づいたことが、自分にはたくさんあります。」
その石室の言葉を聞き頷きながら千葉は、この美しい夕日を未来の子供たちにも見せてやりたいと、
遠くを見つめながら語った。
その時、警報が鳴り響いた!ワームホールが出現!緊急出撃したライトニングに未確認飛行物体が猛スピード
で急速接近してくる。ワームホールへ向かって猛スピードでライトニング各機を追い抜いていったのはアグル
だった。そのアグルの前に、白と黒の反転模様のカラスのような怪獣ブリッツブロッツが現れた。アグルの
手から光線が放たれるが、背の羽を広げ飛ぶブリッツブロッツの動きの方がすばやく、アグルのスピードを
上回っている。GUARD国際フォーラムビルの側に降り立ち、両者は闘う。敵の強さにアグルは早くも必殺
光線をブリッツブロッツへ放つが、その胸が開き中から大きなライフゲージのような赤い球面が、その光線
を吸収してしまった!さらに、吸収した光線を逆にアグルに放った!まともに自らの必殺光線を食らってしま
ったアグル。よろけるアグルにブリッツブロッツはゆっくりと近づくと、そのライフゲージを鋭い爪の手で掴
み取り、一気に剥ぎ取るようにしてアグルの光を奪った。手にアグルの青い光を握り締めたブリッツブロッツ
は、アグルの目の前でその光を握り潰した。その瞬間、アグルはうめきながら、消えてしまった。ブリッツ
ブロッツは狙ったようにGUARD国際フォーラムを破壊するとどこかへ消えてしまった。
無残に破壊され黒煙をあげるGUARD国際フォーラム。はるか遠くその廃虚を背に広大な空き地をフラフラ
と歩く藤宮が居た。思わずよろけ倒れ込んでしまう。そこへGURADの車が止まった。車から降りてきた
のは白い士官服に身を包み、サングラスをした柊だった。柊は以前、藤宮に地底貫通弾の発射を妨害された、
言ってみれば藤宮とは敵対関係にある。
「久しぶりだな。藤宮博也。お前の“力”を俺に貸せ。」
藤宮の秘密を知る柊は、彼をどこかへ連れ去っていった。
しばらくして藤宮を心配した我夢がそこへ現れるが、藤宮の姿はすでに無い。

エリアルベース
コマンドルームのスタッフは、今回のブリッツブロッツが今までとは違った“目的を持った”敵であることに、
緊迫した空気が張り詰めている。GUARD国際フォーラムは、表向きは会議施設だが、実際は地下に新兵器の
研究施設が隠されているのだ。それを知っていた敵は、“情報”と“高い知性”を持っている。そして、今後、
GUARDの主要施設を直接狙ってくることは間違いないであろう。遂に、破滅招来体のGUARDへの直接
攻撃が始まったのだ。千葉参謀はライトニング、ハーキュリーズのメンバーに、そのことを真剣な面持ちで
伝えた。

緑に囲まれた都内の庭園でKCBの田端、倫文、玲子が取材中に、偶然、彼らの知り合いである恵が通りがか
る。取材を中断しベンチに腰掛けながら、恵は彼らに地底貫通弾を撃った柊と出会ったことを話した。
「あの人はやさしい人です。愛するものを守りたい。単純にそれだけの為に。
 でも見ている世界が狭すぎる・・・」
そんな恵の言葉に玲子が語り出す。
「私、青いウルトラマンと一緒に空を飛んだことがあるんです。空の上から地上を見て感じたんです。
 海や大地には、いろんな命が寄り添うようにして生きているんだなって。」
玲子の言葉ににっこりと微笑む恵は、一瞬、地の底から怪獣の叫びを聞いた気がした。

再びブリッツブロッツがジオサテライトNo.3に現れた。そこには分解中の高エネルギー弾頭がある。
それを破壊されたら大変な被害になる。大至急、ライトニングとハーキュリーズが出撃した。エリアルベース
の敦子は、ブリッツブロッツの他に、ジオサテライトNo.3に向かって地下から移動してくる“何か”を捕捉
していた。
現地では、海岸の近くでバズーカ砲を携えた柊と藤宮がブリッツブロッツを見ている。柊が語った。
「藤宮、俺と組んで怪獣を倒すんだ。」
藤宮はアグレイターを見つめた。アグレイターの発する光は、ごく微かなものだった。
「残念だが、今朝の闘いで力を使い果たしたようだ。」
ブリッツブロッツは攻撃してくるライトニングのファイターめがけジャンプして叩き落とした。
梶尾のファイターが火を吹きながら墜落してゆく。他の2機も光弾を食らい不時着していった。
エリアルベースからの確認に梶尾からの応答がない・・・
それを見ていたハーキュリーズは、決死の思いで奮闘する。スティンガーのミサイルをブリッツブロッツ
めがけ発射しまくった。その時、大地の中から土を弾き飛ばし、全身に鎧をまとったような四つ足怪獣
ティグリスUが現れた。その唐獅子のような姿はまるで大地の守護神だ。
モニターを見ていた千葉参謀は、ティグリスは地底貫通弾で死んだ筈では・・・と驚く。以前にティグリス
を倒した柊自身、驚きつぶやいた。
「あの怪獣が、なぜ今・・・」
「この星に住む生き物たちは“与えられた役割”がある。あいつが現れたことには何か理由がある筈だ。」
藤宮が柊に言った。ブリッツブロッツに向かってゆく“大地に住むもの”。
海上を飛んできた我夢のEXも現地に到着する。
「守りたいものがあるんだ、あいつにも。」
闘うティグリスは、ブリッツブロッツの手を噛み必死に攻撃を加えるが、逆に、その頭の角を片方へし折られ
てしまう。その壮絶な闘う姿をサングラス越しに見つめる柊が、思わずつぶやいた。
「怪獣がそうまでして何を守る・・・」
柊はティグリスを援護する為、ブリッツブロッツの目を狙ってバズーカを撃ち込んだ。
我夢もティグリスの奮闘に応える。「ガイアー!」
ブリッツブロッツと闘うガイア。フォトンエッジを放つが、アグルの時と同じく、その胸の赤い球面に
エネルギーが吸収され、逆にガイア自身に向かって放たれた。ガイアは回転する光バリヤで防ぐが、それも
フォトンエッジの威力に粉砕され、ガイアは、自身の放ったフォトンエッジに吹き飛ばされてしまう。
ブリッツブロッツはガイアの赤く点滅するライフゲージを狙ってゆっくりと近づく。そこへティグリスが
ブリッツブロッツめがけ体当たりしてきた。しかし、邪魔されたブリッツブロッツは容赦なくティグリスに
攻撃を加え、ティグリスは絶命してしまった。ハーキュリーズの吉田が叫ぶ。
「お前の努力は無駄にはしない!撃てー!!!」
スティンガーから次々にミサイルが発射される。しかし、ブリッツブロッツはスティンガーに対して手から
光弾を放つと、余裕を見せるかの如くゆっくりとスティンガーに向かってきた。被弾したスティンガーは
身動きが取れず、ミサイル攻撃もままならない。そこへ後方からハーキュリーズのもう1つの戦車“バイソン”
が現れ、ブリッツブロッツめがけミサイル攻撃をしてきた。一体、誰が乗り込んでいるのか?バイソンに乗っ
た男がハーキュリーズを励ます。
「スティンガー、聞こえるか?GUARD環太平洋部隊の柊だ。援護する。」
「柊准将!」吉田が柊の援護に応える。
再起動したスティンガーは、バイソンと共に、グレネードミサイルの連射を浴びせかける。倒れたガイアに
向かって、皆の視線が集まる。
「立て!闘え!我夢!!!」藤宮が叫ぶ。
「立ち上がれ!ガイア!」柊が激を飛ばす。
その声が届いたのか、力なく地に伏せていたガイアは、拳を握り締め、しっかりと顔をブリッツブロッツに
対し向け、力を振り絞って立ち上がった。そしてクァンタムストリームの放射を浴びせる。ブリッツブロッツ
は同じく胸の球面でエネルギーを吸収するが、ガイアも放射し続ける。ブリッツブロッツの限界か?ガイアに
対し光弾を放った。エネルギーを腹一杯吸収したブリッツブロッツはすぐには反撃してこない。
「胸に攻撃を集中!」柊がハーキュリーズに指示を出した。
グレネードミサイルが次々とブリッツブロッツの胸に命中し、エネルギーをはね返す球面は破壊された。
「今だ!」藤宮がガイアに叫ぶ。
「撃て!ガイア!!!」柊が叫ぶ。
スプリームバージョンに変身したガイアは、ブリッツブロッツめがけフォトンストリームを放ち、遂に、粉々
に粉砕した。

墜落した梶尾は、奇跡的に脱出していた。背後に原形を失ったファイターが炎上している。額から血を流し、
足を引きずり、全身に傷を負いながら、それでも梶尾は必死に生きようとしていた。

永遠に目を閉ざしたティグリスが前足を凛と伸ばし、夕陽に照らされそびえ立っている。
大地の守護神のごとき毅然としたその表情は、しかし、どことなく満足そうだった。
ティグリスを見つめる柊、我夢、藤宮、ハーキュリーズ。柊が口を開いた。
「勇敢なる“戦友”に敬礼!」
我夢が、ハーキュリーズの吉田らがティグリスに敬礼する。藤宮はじっとティグリスを見つめていた。

神社に来た恵は誰となく語った。
「大地にすむものたちに、“その時”はもうすぐ訪れます。」
“その時”・・・
恵は大地から竜の叫び声を聞いた気がした。


次回予告

襲撃の森

森が侵略を始めた!暗躍する不気味な教祖。
今、自然コントロールマシンの正体が明らかに!
おまえは何者だ!? 教祖『きたぁ〜〜〜!』


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