ガイア最新話感想

第44話

宇宙怪獣大進撃

放映日

1999年7月10日

登場怪獣

宇宙戦闘獣 超(スーパー)ゴッヴ
宇宙雷獣  超(スーパー)パズズ


脚本

武上 純希

監督

根本 実樹

特技監督

佐川 和夫


ストーリー

作成

くらむぼん


密かに進められていた「対破滅招来体プロジェクト」は準備が完成し、実行を待つだけとなっていた。
ワームホール発生に伴う電荷分布から破滅招来体の母星は、44光年離れたM.91恒星系にあるとの結論が
出され、空間に強力な電荷を与えることでワームホールを造るシステムがジオベースに完成していた。
そこに恒星間ロケットを改造したワームジャンプミサイルを発射し、44光年離れた破滅招来体母星を破壊
しようという計画なのだ。しかし、我夢はエリアルベースのモニタに映ったダニエルに向かって反論した。
「ダニエル、ワームホールに関する研究は、無限の宇宙に飛び出して
 新しい友人に会う為の夢だったんじゃないのか!」
しかし、ダニエルもまた、“宇宙にいるのは友人だけではない”と反論するが、我夢は納得がいかない。
「クラウスも言ってたそうだ。破滅をもたらすものが現れたら、人類は逆に攻撃するだろうが、
 それは意味のないことだって。僕もそう思う。」
そんな我夢にむかって、石室コマンダーも口を挟んだ。
「我夢、お前の気持ちはよくわかる。しかし、我々には世界の秩序を取り戻す義務があるんだ。」
「子供達に、もう一度、希望に満ちた目で宇宙を見てもらいたいんだ。」千葉参謀も我夢を諭す。
我夢の信念と他の者との信念がズレてしまっていた。これ以上の反論をすることもできず、我夢はコマンド
ルームを出た。そこに、同席していた稲城リーダーが駆け寄って、我夢の態度をなじった。
“やはり、あなたは軍人にはなれないのね。狼の群れに迷い込んだ羊”だと・・・

我夢は一人、ディスプレイルームで今までのガイアの闘いの映像を見ていた。そこへさっきの我夢への言葉を
謝りに、稲城リーダーがやってきた。
「さっきはごめんなさい。ちょっと言いすぎたわ。」
そんな稲城を我夢は許していた。しかし、“自分達は間違ったことをしようとしているのではないか?
どんな敵であろうと、無差別に絶滅させるようなことをしていいのか?”その疑問が、どうしても心に引っ
掛かっていた。稲城リーダーは、その問いかけには答えずに、もっと素朴な疑問を投げかける。
“地球怪獣が暴れるのはそれなりの理由があったが、宇宙怪獣はなぜ暴れるのか?操られているのか?”
我夢は、その問いかけの答を、アルケミースターズの仲間であるミクへ聞こうと思った。彼女なら、なにか
納得できる答を言ってくれるかもしれない・・・

浅野古代生物研究所の外を、我夢はミクと歩いていた。ミクは我夢の問いかけにあっさりと答えた。
“怪獣だって『生物』だから、いきなり環境の違う地球へ送り込まれたら、暴れ出すのは当然。
 驚いたり、恐怖したり、自分を守る為に新たな地を自分のテリトリーにする為に。
 怪獣そのものは、根源的破滅招来体なんかじゃなく、単に利用されているに過ぎないのだ。”と。

エリアルベースに戻ったガムは、プロジェクトの中止を訴える。
「我々はCOVやパズズを根元的破滅招来体と便宜上呼んでいるうちに、
 とんでもない間違いを犯していたんです。怪獣そのものは破滅招来体じゃない。
 ただの生物なんです。
 怪獣たちは破滅招来体に無理矢理テリトリーの外に運ばれたんです。」
そう説得する我夢に石室コマンダーは聞き返す。
「怪獣そのものに悪意はない。環境の変化に適応しようとしているだけだ。
 そう言いたいのか。」
「だとしても我々にとって脅威であることに変わりはない。」
そう言う千葉参謀と石室コマンダーに我夢は真意を明らかにする。
「このプロジェクトでCOVの母星を破壊できたとしても、破滅招来体は新たに
 他の生物の住む星と地球をワームホールで結ぶでしょう。地球を完全に平和にする為には
 全宇宙の大型生物を抹殺するしかなくなるんです。
 かつて人類が自分たちの安全の為と称し、野生生物を絶滅に追い込んだように・・・」
だが、作戦の指揮権はジオベースの谷本参謀に委ねられXIGが中止させることはできない。
それを知り、急ぎエリアルベースからEXで飛び立つ我夢。
ジオベース作戦基地に乗り込み、
“人類が宇宙の破壊者になってしまう!
 引き返すことのできない泥沼に足を踏み入れることになってしまう!”
そう作戦の中止を訴える我夢は、逆に谷本参謀の激しい叱責を受け退去させられてしまう。
作戦基地の外に放り出された我夢の側に、いつの間にか藤宮が立っていた。
「我々は破滅招来体のシナリオ通りに動き始めてしまったのかもしれない・・・
 過ちを止められるのはお前だけだ、我夢。
 愚かにも人類はこの作戦を唯一の希望としている。
 人類の希望を打ち砕く勇気があるか!?・・・ウルトラマン!」
その時、ワームホールを作るための照射機が二人の目の前で作動し始めた。
そのワームホールを利用して敵母星へ撃込まれるワームジャンプミサイルの
発射台もスタンバイ状態になっている。
「宇宙に夢の道を作るはずが、抹殺兵器を送り込むために使われるとはな・・・」
藤宮は人類の愚かさを冷めた目で皮肉った。
「人類は今、テリトリーの壁を壊そうとしている。
 踏み込んではいけない世界に攻撃を加えようとしている!」
我夢も同じ過ちを何度も繰り返そうとする人類に、やり場のない憤りを感じている。

エリアルベースでは、石室コマンダーが、堤チーフ、チームクロウの稲城リーダーに対し、プロジェクト実行
区域に入ってくるものは“何者であっても”排除するよう命令を下した。ピースキャリーとチームクロウは、
作戦遂行を護衛するため出撃していった。
ジオベースの作戦基地では、遂にワームホールシステムが作動した。2つの照射機からビームが上空に照射
され、次第に上空にワームホールが作り出される。それを見て我夢は決心した。「ガイアー!!!」
プロジェクト実行区域にガイアの姿が現れ、エリアルベーススタッフと堤、チームクロウは戸惑いを隠せない。
ただ一人、石室コマンダーだけが予期したように落ち着き払い状況を見守っていた。戸惑う稲城は堤にターゲ
ットはガイアで間違いないか確認するが、堤は間違いではないと、ガイアを攻撃するよう指示を下す。
やむをえずチームクロウはガイアに向かって攻撃を加える。ミサイルはガイアの足元で爆発した。しかし、
再度の攻撃ができないクロウ。思わず稲城は命令を拒否する。
「駄目です・・・撃てません!」
ちょうどその頃、エリアルベースにはダニエルからの緊急通信が入っていた。今作り出されているワーム
ホールに、破滅招来体のワームホールが接触するという緊急事態が起こっているという。しかし、今ワーム
ホールを閉じてしまうと、大量のエネルギーが行き場を失い非常に危険な状態に陥ってしまう。このままでは
自身が作り出したワームホールを閉じることもできず、ただ相手のワームホールから“何か”が送り込まれて
くるのを待つしかできない。ガイアは照射され続けるビームに自ら飛び込み遮断しようとするが、あまりに
膨大なエネルギーには歯が立たず地上へ落下してしまう。そこへ遂に敵のワームホールから逆に送り込まれた
スーパーCOVとスーパーパズズが現れた。COVとパズズは行き場を失ったワームホールのエネルギーを
吸収して通常よりも強力なパワーだ。2匹は興奮したように暴れだし、ワームホールシステムを次々に破壊
していった。そして残されたワームジャンプミサイルに向かって2匹は突進していった。施設が破壊され
ミサイルを地下へ撤去することができない。ワームジャンプミサイルは惑星1つを破壊するほどの威力なの
だ!2匹がミサイルに手をかけただけで地球は消滅してしまう!エリアルベースの千葉はなすすべなくつぶや
いた。
「人類は自ら作り上げた最強の兵器で自滅してしまうのか・・・」
ガイアはミサイルに向かって突進する怪獣を必死で食い止める。
チームクロウもガイアを援護して怪獣に攻撃を加えるが、パズズの光線を食らい戦線を離脱してしまう。
じっと状況を見守っていた藤宮が、遂に動いた。
「奴等自身は地球破壊の目的意識が無かったとしても、
 生物の本能で暴れているだけだとしても、
 だからこそ、“やっかい”なんじゃないか・・・、我夢。」
腕につけたアグレイターをかざし光を開放した。暴走する2匹の怪獣に苦戦するガイアの元に、アグルが現れ
た。ミサイルから遠ざけながら、ガイアはCOVと、アグルはパズズと闘う。しかし、暴れまわる怪獣を静め
ることはできない。やむなくクァンタムストリームを放とうとするガイアは、
“宇宙怪獣たちは、ただ無我夢中で生きようとしているだけなんだ・・・”
と、躊躇してしまう。だが、アグルも同様に葛藤しながら闘っているのだ。地球を救うには、今は闘うしか
ないのだ。意を決してガイアはスプリームバージョンになった。COVに体当たりし尻尾をつかんで振りまわ
すガイアは、同様にパズズを振り回すアグルとともに怪獣を一個所に放り投げ、必殺光線の構えに入った。
ガイアの両手から、アグルの腕から、まばゆい光線が放たれ交わりながら一直線に
怪獣の体を貫いて、暴れまわっていた怪獣は木っ端微塵に砕け散った。互いの顔を見合わせ、飛び去っていく
ガイアとアグル。人類が本当の平和を手にするのはまだ遠い・・・

--------エリアルベース--------
コマンドルームの窓から夕焼けを見つめる石室コマンダーと我夢。石室が口を開いた。
「M.91が根元的破滅招来体の本拠地でなく、COVが生息するだけの惑星であることがわかった。
 俺達は奴等の思惑通りに動いてたのかもしれん・・・。
 いずれにしても破滅招来体攻撃の手がかりは失われてしまったがな。
 どうした、人類が1つの希望を失ったというのに、うれしそうじゃないか。」
夕陽に照らされながら我夢が言った。
「いえ、あんまり夕陽がきれいなんで・・・。
 ・・・人類は、たとえ希望を失っても、夜明けとともにまた新しい希望を
 見つけてくんじゃないでしょうか?」
夕陽を見つめる我夢の横顔にちらと目をやり、石室が応えた。
「そうだな。そうだといいな。」
二人は美しく真紅に染まる夕空を、それぞれの思いで見つめていた。


感想

作成

GEM!


<ガイアはおもしろくないのか?>

「宇宙怪獣大進撃」を見て、正直落胆しました。
あのガイア、アグルと2体の怪獣とのバトルは、子供たちへのサービスの
気持ちであるのでしょう。しかし、ああいった中途半端なものでよいのでしょうか?


根元的破滅招来体と怪獣とウルトラマンと人類。
人類はどうあるべきか、ウルトラマンは何をするべきか。
非常に思い問題をかかえていたのですが、いきなり
アグルとガイアが変身すると、アグルが「ガイア!変身だ!」
今までのクールさがなくなって、ただの「ヒーロー」になってしまった。
ウルトラマンは基本的に「子供番組」です。
ウルトラマンガイアでは、その枠も越えようとして作っていたように思います。
しかし、徐々にフラフラしてきて、いつの間にかどっちつかずの
状態になってしまったように思います。


「根元的破滅招来体」というとても難しい言葉の敵を
登場させ、高校生ぐらいから、ウルトラ世代である40歳
ぐらいの人たちにも楽しめる内容になると期待していました。
最初のうちは、今までのウルトラマンとは違う感じの
ストーリーで、とまどいながら見ていました。
それでも徐々に慣れてきたのか、普通に見れるようになりました。
しかし、いつの頃からでしょうか、おや?と思い始めました。
ヒーローなのに人類の敵であったというアグルの存在と、
そのアグルが人類を滅亡させるために活動していたという
ストーリーの暗さがどうも自分にはなじめなかったようです。
それでも、アグルのあのクールさには、心惹かれるものがありました。
ある意味、取っつきにくかっただけかもしれません。


しかし突然、信頼しきっていた光量子コンピューターが、
根元的破滅招来体のウィルスに汚染されていたという、
なんともお粗末な結果になってしまいがっかりさせられました。

そして、その破滅招来体の正体も、実はただの宇宙人ではないのか?
という展開になってきいます。


そしてついに、アグルがV2となり復活しました。
しかしアグルも、昔のようなクールさが消えて、「普通のヒーロー」
となってしまい。ウルトラマンガイアという番組の特色の一つが消えて
しまったように思います。

私はガイアを見ていて、スタッフの方々の一体感がないように思えます。
映像やストーリーに一体感を感じないのです。
そして、全体を通してみたときに、破滅招来体という謎について、
迫っているように見えて、実は右往左往しているうちに、その正体は
ただの宇宙人になってしまったのではないか?
番組も終わっていないうちからこんなことをいうのも何なのですが、
私にはそう思えてならないのです。


もうガイアも残りわずかとなり、最終回に向けて制作も着々と進行している
ので、いまさら何を言ってもしょうがないでしょうが、あえて言わせてもらえば、
ちゃんと完結して欲しいのです。

「宇宙人をやっつけた!」で終わらせて欲しくないのです。
子供たちが大きくなったときに、「こんなストーリーになっていたんだ!」と
感動できるものになって欲しいのです。
我々が、昭和のウルトラマンを今見返してみて思ったように・・・。

我夢も藤宮も、ファイターチームもみんな好きです。
ウルトラマンガイアも好きです。ウルトラマンアグルも好きです。

最終回を楽しみに待っています。


次回予告

命すむ星

こいつは強敵だ!GUARD施設を次々と襲う『破滅魔人 ブリッツブロックス』
ガイアとアグルは勝てるのか?聞け、ティグリスの叫び!


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