ガイア最新話感想

第42話

我夢VS我夢

放映日

1999年6月26日

登場怪獣

精神寄生獣 ビゾーム


脚本

小中 千昭

監督

村石 宏實

特技監督

村石 宏實


ストーリー

作成

くらむぼん


夜の街を我夢は何者かを追って走る。
XIGナビでターゲットを確認し地下のトンネルへ入って行った。
突然、背後から襲われた我夢が、振り払って見た姿はなんと黒服に身をつつんだ自分自身の姿だった。
不敵な笑みを浮かべて、その黒服のもう一人の我夢は、我夢に向かって言った。
「僕は君さ。
 頭脳と直感に秀でたというだけでXIGの隊員になって地球を守る。
 銃を持ち、格闘技を習得し、あげくガイアの力を//」
「やめろー!」我夢が叫んだ。
「アルケミースターズがなぜ生まれたと思う。」黒服の我夢は意外なことを口にした。
「なぜって・・・」
「なぜ僕たちはネットワークで集まらなきゃいけなかった?・・・他の子供や大人達が気味悪がったから
 じゃないか。他とちょっと違うだけで人間はすぐに異端を排除する。人間なんてその程度の生き物。
 僕らこそ、生き残るにふさわしい存在。」
「違う!」我夢が必死に否定する。
「本当に、そう思っているのかい?・・・我夢。」もう一人の我夢が見透かしたようにニヤリと笑った。
「なんだって・・・」
「僕は君さ、君の心だ。」
「ふざけるなー!!!」
我夢の叫びがこだまする中、もう一人の我夢は巨大化して夜の街にサタンビゾーとなって現れた。
それが自分の心の姿だというのか!?
「ガイアー!」我夢は、その思いを必死で振り払うように叫び、光となった。
サタンビゾーは、体の中央に走る黄色い裂け目から光線を放ち、立ち並ぶビルを破壊する。
走り向かって行くガイアは、サタンビゾーの鋭利な爪の攻撃を間一髪よけた。
切り裂かれたビルの上部が徐々にズレて落下していく中、
ガイアはフォトンエッジを放って、サタンビゾーを消滅させた。
・・・が、倒した筈のサタンビゾーの不気味な笑い声が、夜空にこだまして消えていった・・・
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〜エリアルベース・コマンドルーム〜
晴れた空とは裏腹に、我夢は元気がない。窓辺で空を見つめる我夢の姿を、敦子が心配そうな視線で見つめて
いる。モニタにはアルケミースターズのダニエルが映し出され、“世界中のアルケミースターズが協力し、
破滅招来体のワームホールが繋がっている星域をつきとめつつある”と、話している。
〜艦長室〜
攻撃は最大の防御と考えているのか問う我夢に、茶をたてながら石室コマンダーは言った。“その考えは戦略
としては誤りであり、防御すべき事を尽くさずして攻撃をすれば手痛い結果を招くことになる”と。しかし、
XIGコマンダーとして、敵の居場所を知ることは重要だとダニエルに賛同の意も示した。
「若い時には色々と考えるものだ。
 考えなくていいことも考えてしまう。考えが“袋小路”に入っていることも気づかず。」
我夢の心の内を見透かした石室の言葉に、思わず我夢は「エ!?」と戸惑う。
「俺自身のことだ。若いとき、そうだった。」
「コマンダーが・・・」意外そうに聞く我夢に、コマンダーは言葉を続けた。
「どうして地球が自分に力を与えてくれたのか。どうしてアルケミースターズが生まれたのか。
 それを地球に聞いたところで、答えてはくれまい。」
「わかってます・・・でも、“答”が欲しい時だってあるんです。」我夢は苦しい胸の内を漏らした。
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コマンドルームに戻った我夢は、フランスのアルケミースターズの一人ミッシェルから、エリアルベースの
データをまわして欲しいとの通信を受けた。許可が必要だと返す我夢に、自分が申請をとってあげると敦子が
気を利かせて言う。
元気なく廊下を歩く我夢の前に、再び黒服のもう一人の我夢が姿を現す。
「アルケミースターズが、危ないことを始めたねぇ・・・」と、それだけ言って消えてしまった。
その時、我夢のXIGナビが鳴った。モニタに映ったのは、すぐそこのコマンドルームにいる敦子だ。
「我夢、元気出して。」 「こんなことにナビを使ったら怒られちゃうよ。」
「私はそんなヘマしないもん。」
敦子はできるだけ明るい笑顔を見せて我夢に話しかけた。以前は子供扱いしていた筈の我夢が、
心の中で少しずつ大きな存在となっていることに敦子は気づいていた。
敦子の励ましをうれしく思いながらも、我夢は心晴れないままIDカードを通して自室のドアを開けた。 と、そこには黒服の自分を追って入った地下トンネルが広がり、同じ光景が繰り返された。
突然、我夢は気づいたように叫んだ。 「これだ!こいつのせいだったんだ!」
地下トンネルへ追跡した時も、今も、直前にXIGナビを使っていたのだ。至急、ジョジに分析してもらうと、
ナビには発信ダイオードのようなものが仕掛けられていた。我夢には心当たりがあった・・・
(あのΣズイグルの光弾を受けたときだ・・・)それは人間の作ったものだとジョジは言う。 その言葉に我夢の顔色が変わった。考え事をするときの癖で、逆立ちしながら我夢は必死に何かを考えはじめた。
「クリシスのシステムは破滅招来体によって書き換えられていた・・・・・!」
急に我夢は、コンピュータで何かを検索し始めた。
「そんなこと、絶対ないと思ってた!
 検索…、創立初期メンバー…、クリシス開発スタッフ…、集積回路開発・・・・・」
「何探してんの?」と、ただならぬ様子に問う敦子。
「僕らはみんな、地球と人類の為にって集まった筈じゃないか!
 ・・・だけど、そうとしか考えられない。そんな奴がいるだなんて!」
「誰のこと?」ジョジも問う。
「裏切り者がいるんだ・・・アルケミースターズに!」
二人とも「エッ!・・・」と言ったまま言葉が出なかった。検索に引っかかったメンバーの中から、
クリシスのセットアップ直前に脱退した“クラウス・E・カルト”というドイツメンバーを見つけると、
我夢はコマンドルームから飛び出していった。
飛び立っていくファイターEXを窓越しに見つめる石室コマンダー。そこに千葉参謀も歩み寄り言った。
「我夢は最近、単独行動が多いな。」
「彼には、彼にしか出来ないことがあるんです。」
「そうじゃないんだ・・・。彼はまだ若い、若すぎるほどに・・・。
 この地球を見舞う危機に対して、あんな若者に託さなくてはならない・・・。辛いんだ・・・。」
千葉も、石室も、我夢が飛び去っていった空を黙って眺めた。
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〜ドイツ・ルール地方〜
我夢は、クラウスの住んでいる筈の“城”のような屋敷へと入って行った。
周囲を森に囲まれた静かなところだ。屋敷入口の石階段を上った所にある玄関から森に面した門に向かって、
四角く区画された庭園の中央を歩道が真っ直ぐに通っている。
歩道の途中には、少し広くなったサークルがあり、その歩道の両脇には黄、紫、白といった花々が
整然と植えられている。その屋敷は、発信ダイオードのせいで見た“幻影”に現れたものと同じだった。
我夢は、一階二階を探し地下室へと降りていったが、屋敷の中に人が住んでいる気配はなかった。
そこの地下室の床にサークル状に描かれた絵文字を、不思議そうに我夢は見つめた。 その時、階上でドアが閉まる音がした。
さらに、コツン、コツンと、誰かがゆっくり階段を降りてくる・・・
「クラウスは、もうここには居ない。」
それは、以前カナダで会ったアルケミースターズの“キャサリン”だった。
二人は二階にあったクラウスの部屋へ行き、互いにクラウスを探しに来た理由を語った。
キャサリンは、飾ってあった藤宮とダニエルがクラウスを囲んでいる写っている写真を見ながら話した。
「ダニエル達がやっていること知ってるわよね。ワタシそれに参加したいと思わなくて・・・
 破滅を招くものが本当にきたら、人間はそれに逆に攻撃するだろうって、クラウスがずっと前
 言ってたの。でも、それは意味が無い(そうクラウスは言った)。」
その意味を確かめる為にキャサリンは来たのだが、彼は庭園中央にあるサークルの所で、家族の見ている前で
消えてしまったのだと言う。二人はクラウスの屋敷をあとにして、街へと歩いていった。
「キャサリン、」
「あ、みんなワタシのこと“キャス”って呼ぶ。」
「・・・キャスは、アルケミースターズのこと、どう思ってる? どうして、僕らみたいな//」
「地球の防衛本能が生んだ鬼っ子!? ワタシそれでもいいと思ってる。
 どういう理由で生まれたって、ワタシ達はワタシ達。一人一人違う人間だわ。
 だからワタシ達、同じ事考えたり、同じ事する必要も義務もない。」
「そうだ!そうだよね。」我夢は心のモヤモヤが晴れたように、笑顔でキャサリンを見つめた。
そんな我夢にキャサリンは悪戯っぽく聞いた。
「ネエ、こういうのって何ていうか知ってる?
 女の子と男の子が二人で歩く・・・。 “デート”じゃない。」
そう言いながら、我夢に向かって手を差し出した。ドギマギしながらも、我夢はキャサリンの手をとり、
手をつないで歩き出した。ちょっと照れて、空を見上げながら歩いているけれど・・・
------------(ここは赤道上空のエリアルベース)------------
『バキッッッ!』敦子の手に握られたペンが、真っ二つに折れた、、、
「敦子・・・、どうかしたの?(・_・;;;」驚くジョジ。
「気にしないで。。。何かわけわかんないけど、超激ムカ!!!・・・!?(-_-メ?」
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パン屋の看板を見た我夢は、その文字が地下室の床に描かれた絵文字に似ていることに気づき、キャスに聞い
た。ルーム文字、ヨーロッパの古代文字だという。それを聞いた我夢は、クラウスの屋敷へと急ぎ走り出した。
再びキャスの手をとり握り締めて・・・
------------(ここは赤道上空のエリアルベース)------------
『バキッッッ!』 ・・・・・(・_・;;;・・・(-_-メ?・・・・・
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クラウスが消えた庭園のサークルに辿り着いた我夢は断言した。
「クラウスは、ここで彼の持ち得た情報と肉体を捧げたんだ!破滅招来体が送った精神寄生体に!」
すると、サークルは暗闇に包まれ、まわりには絵文字が浮き上がった。
そして、二人を囲むように、空から無数の人影が降りてくる。
その中の一人が、例のもう一人の我夢の姿になって現れた。
「もう僕の姿なんてやめろ!君はクラウスなんだろ!」
と言う我夢に、そのもう一人の我夢は、「そうだ」と答えながらも言った。
「だが、僕は君の隠された本当の心さ。才能を得て生まれ、そして強大な力を託された。」
そういうクラウスにキャサリンが問う。
「アナタが言ってたことって、破滅を招くものに力で立ち向かうだけじゃいけないって//」
キャサリンの言葉を遮ってクラウスは否定して言った。
「それは君の解釈だ!
 僕に力を与えてくれたのは破滅ではなく、この地球と人類をより高く進化させる存在なのだ!」
そう言って、その力を誇示するかのように巨大化し、精神寄生獣ビゾームの姿を現した。
サタンビゾーに良く似ているが、形はより人間に近い体型をしている。
一人で逃げろと言う我夢に、一人では嫌だというキャス。しかし、我夢は厳しい表情で言った。
「僕にはやることがあるんだ!」
キャスはただならぬ覚悟を感じ、我夢の言葉に従った。その我夢に向かってビゾームが言う。
「早く光を開放しろ、我夢。地球の力など、遥かなる星の英知にはかなうものじゃない!」
エスプレンダーをかざす我夢。しかし、そこに藤宮の姿が現れる。
「待て! 我夢、あれはお前、それに俺のもう一人の姿・・・。それでも闘うのか。」
「確かに、あいつはもう一人の僕。心の奥に居る怪物だ。だから、僕が倒さなくちゃいけないんだ!
 ・・・ガイアーーー!!!」我夢は自分自身に言い聞かせるように、光を開放した。
漆黒の闇の中で、対峙するビゾームとガイア。互いに光の剣を手にして向かって行く。
交錯する青光の剣と黄光の剣。
ガイアの青光の剣が、ビゾームの体を幾重にも切り裂いた!しかし、切り裂かれた一つ一つの個体は、
小さなビゾームへと形を変え、十体ちかくものビゾームがぞろぞろとガイアに近づき、顔の中央に走る
黄色い裂け目から光線を一斉に放った。
青光の剣を盾にしてよけるガイアだが、その爆発に吹き飛ばされ倒れてしまう。
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ビルに囲まれた街を歩く藤宮が、ふと足を止める。
「お前に倒せるか? 我夢。 自分の心の奥に巣くっていた怪物に・・・」
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倒れているガイアに向かってキャサリンが叫ぶ。
「我夢ー! 立ってよ我夢! 我夢なんでしょ!」
その言葉に、力を振り絞って立ち上がるガイア。さらに全身を光に包みスプリームバージョンへと変身し、
フォトンストリームを無数のビゾームに向かって放った。しかし、消滅したかに見えたビゾームは、再び、
元の姿へと一体化した。心の中に巣くう怪物を倒すのは、自らの拳でしかない! これは心と心の闘いなのだ!
襲いかかってくるビゾームに向かって、ガイアも真っ向から向かってゆき拳を突き出した! 互いのパンチが
交錯したまま、どちらも身動き一つしない…、が、やがて、ビゾームはその身を粉々に爆発して散っていった。
クラウスの屋敷の前で庭園を見下ろしながら、我夢はキャサリンに背を向け一人語る。
「アイツは、本当に僕の心の奥の怪物だった・・・。
 僕の心の奥底に、アイツが言うようなことを隠しているなんて思ってもみなかった。
 思いたくもなかった!
 でも・・・あったんだ。だから、僕はアイツと闘った。」
「クラウスは//」
「僕、勝ったぜ。。。闘って、勝ったんだ。」そして、我夢はキャサリンに振り返って言った。
「僕は“人”と闘いたくなんてなかった! 僕はそんなに強くなんてない、、、
 でも、今は闘うしかないじゃないか!」
我夢は苦悩し、こぼれそうになる涙を必死にこらえながら、真っ直ぐキャサリンを見て言うと、
階段を駆け降り、庭園を門へ向かって走っていった。
その後ろ姿を見つめるキャサリンの目から、ひとしずくの涙がこぼれ落ちた・・・

感想

作成

GEM!


今回は、映画「ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア」に出てきた、
テレビシリーズのお話でした。黒我夢やサターンビゾームも登場し、映画とテレビのリンクという、
我々にもう一つの楽しみ方を与えてくれたストーリーでした。

黒我夢ですが、あのしゃべり方。あの顔。気持ち悪い感じが出ていて、私は好きです(^_^;)。
サタンビゾームって、ウルトラマンのゼットンに似ているので、もう少し強くあってほしかったのですが・・・。

しかし、アルケミースターズのパキスタンの仲間っていったい・・・(^_^;)。

アルケミースターズの頭脳を持ってしても、「裏切り者」のことがわからないのかって思ってしまうのは
私だけでしょうか?
クリシスにウィルスがいたこともわからず、裏切り者もいたこともわからない・・・。

我夢がドイツへ行ったとき、一生懸命にドイツ語を話しているのは、とても好感が持てます。
前にアメリカに行ったときには、日本語でしたからね。

キャサリンと我夢が手をつなぐと、なぜか敦子はペンを折ってしまいます。
女の勘というのは恐ろしいものなのですね・・・(^_^;)。

キャサリンは、ガイアが我夢だということに気づいてしまいます。
石室コマンダーはじめ、我夢がガイアだと気づいている人たちが実はたくさんいるのではないでしょうか?
ウルトラマンになりたいと願った人がウルトラマンになれる。
実は、ウルトラマンになっている人たちがたくさんいるのかもしれません・・・。
アルケミースターズは、ウルトラマンになれる、人類の候補生なのかもしれません。

根元的破滅招来体に操られたクラウスは、ガイアになった我夢に倒されました。
我夢のこの言葉が印象的でした。

僕は“人”と闘いたくなんてなかった! 僕はそんなに強くなんてない、、、
 でも、今は闘うしかないじゃないか!



次回予告

銀色の眼のイザク

こんな姿でよみがえるはずじゃなかった。
絶滅動物をクローン再生する人類の夢は、無惨にも破滅招来体に利用された!


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