ガイア最新話感想

第36話

再会の空

放映日

1999年5月15日

登場怪獣

宇宙忍獣 X(クロス)バーガ


脚本

吉田 伸

監督

佐川 和夫

特技監督

市野 龍一


ストーリーのみの掲載です!

ストーリー

作成

くらむぼん


------ノルウェーのサイリア島------
海に面した洞窟に、一人のダイバーが海から上がり入っていった。松明で照らしながら、奥深く入ってゆく。そして、
行き止まりの壁面に描かれていたものは、なんと、巨獣ゾーリムが槍を持った人々を襲っている絵だった!それは、
はるか古のことを描いたものなのか?それとも、今を予言し描いたものなのか?・・・。その絵を松明で照らしながら、
じっと見つめている男は、藤宮だった。彼は、ゾーリムの火炎の直撃を受けた筈だった。しかし、生きていたのだ。
藤宮は、破滅招来体の思惑通りに、ガイアと闘ってしまったことを思い出していた。壁面に描かれたゾーリムを睨み
据え、反射的に、足につけたナイフを取り出し、その目に刃を突き立てた。

-------日本-------
夕暮れの海を見下ろす一つの十字架の墓標・・・。藤宮は、稲森京子の墓を前に、今は亡き彼女に語り掛ける。
「俺は全てを失った。なのに、まだ奴等は生きている。
 アグルの力は・・・、戻ってはこない。もう、地球は俺に語り掛けてはくれなかった・・・
 だが、人として、俺にもまだやれることがある。・・・そうだろ。」

GUARDの戦闘服に身を包み、密かにジオベースに乗り込んだ藤宮。彼は、GUARDの新兵器である
“対空間レーザーシステム”を管理する一室に入って行き、S.D.L.(SpaceDevelopmentLaboratory)のコンピュータへ
“SHADOW PHOENIX”プログラムをUPLOADした。彼の進入を知らせる警報が鳴り響く中、目的を達した藤宮は
ジオベースを後にした。

その事件を知ったKCBの田端は、倫文と明るく笑い合う玲子に、その事件でジオベースに進入した男は、
“玲子が知っている男”に似ていたことを告げた。

エリアルベースでも、ジオベースから、コードネーム“SHADOW”のウィルスを発見し駆除した報告を受ける。その
ウィルスを投入したのが、藤宮であることもわかっていた。石室は、“藤宮が、対空間レーザーシステムを奪おうとした
可能性が高い”と考えた。藤宮の生存を知った我夢は、石室に彼を捜索させてくれるよう許可を求めた。
EXで飛び立ってゆく我夢は、藤宮の生存を喜ぶ気持ちと、彼の行動に対する不信感が入り交じる。
「藤宮、まさか君は、また僕たちを・・・」
そのEXが飛び去った直後に、EXを見つめているかのように、一機の小型ジェット機が、雲の中から浮上した。
そこには藤宮が乗っていた。
「待っていろ・・・我夢。」

その小型機の中は、無数のコンピュータ機器と計器類に囲まれ、藤宮はホログラムモニタで、飛び去ってゆくEXを
見つめていた。そのホログラムモニタが一瞬消え、あの人の姿が浮かび上がった。
「相変わらず、地球に関する研究は熱心ね。」
「・・・稲森博士!」
「私のことを覚えていてくれたのね・・・」
「忘れるわけが無い・・・」
「・・・あなたね。洞窟の壁画を傷つけたのは。」
「何故あなたが!」
「私は、“大いなる力”で蘇った。その力を挑発する愚かな男・・・」
「・・・あなたは、破滅招来体に・・・。博士、その“力”とは何なんです! 何故、地球が狙われる!?」
「あなたは、掃き溜めにうごめく害虫の、存在意義を考えたことがある?
 考える必要なんて無い。そんなもの要らないもの。だから地球も要らない。汚れた存在は、誰だって嫌。
 でも、私はあなたと一緒に、その汚れを取り除く方法を知ったのよ。
 きっと、操られたクリシスの答は、嘘ではないのよ。 私とあなたは、その答を信じる運命・・・。
 会いたかったわ・・・あなた・・・」
ホログラムの稲森は、藤宮の頬に手を触れ、口づけをしようと顔を近づけた。目を閉じる藤宮。その時、突然、稲森
の手が波打って、形が崩れてゆく。苦悶の表情を浮かべながら藤宮が言った。
「このコンピュータには、強力なウィルスプロテクタが仕掛けてある。
 クリシスの時のようには、いかない!
 だが、俺は1つだけ感謝しています。・・・博士の崇拝する力は、俺に大切なことを思い出させてくれた。
 俺は、アグルである前に、ただの人間だったんです。」
その言葉など、聞いていないかのように、必死の形相で稲森が哀願する。
「藤宮君、、、あなた、私を見捨てるの!?」
「今のあなたは、俺の知っているあなたじゃない!」
「苦しいわ、、、藤宮君、、、藤宮君、助けて、、助けて、、ああぁ〜・・あぁ・・・」
「黙れ、消えろーーー!!!」
藤宮は、苦悩の表情をうつむかせて、断ち切るようにしてボタンを押した。苦悶の叫びをあげる稲森の姿は、完全に
消えた。

リザードは、幾つか確認されている藤宮の潜伏場所の一つに、彼が姿を現したとの情報を掴んでいた。藤宮は、
幾つもの工学特許を所有し、その財力で世界各地を転々とし、身を隠していたのだ。リザードの瀬沼とともに、
車に同乗した我夢は、藤宮の潜伏場所へ向かった。その車の後を、KCBの車が追ってくる。その車に玲子が
乗っているのを見た我夢は、瀬沼に、そのまま真っ直ぐ、藤宮の所まで行くよう頼んだ。

森に囲まれ、もう長い間使われていない研究施設のような建物の前で、KCBの田端が言った。
「高山君、君やリザードが、ここにいるってことは・・・」
「藤宮君が、ここに居るのね!?」
不安と期待の入り交じった玲子に、我夢が言った。
「僕が会ってきます。」
我夢は、建物の中に入っていった。
“会って、自分の気持ちを確かめてこい!”と、田端は玲子をけしかけた。我夢の後を追う玲子。リザードの瀬沼は、
それを阻止しようとするが、田端と倫文が“行かせてやってくれ!”と羽交い締めにした。
左右の部屋を確認しながら、我夢は廊下を走っていった。そして、行き止まりの、ある一室へ辿り着いた時、薄汚れ
たレース越しに、窓の外を見つめている藤宮を見つける。
「藤宮!」
「我夢・・・」
「無事だったんだね。」
「ああ。」
「だったら、どうして君は僕たちの前に、姿を現さないんだ?
 もう、僕たちが協力できない理由なんて、無い筈だ。」
「あるさ!」
その時、玲子が部屋に駆け込んできた。
「藤宮君!・・・」
「元気そうだな。」
「ええ・・・。随分、あなたの深刻ぶった顔を見てないから。」わざと強がりを言う玲子。
「我夢、俺はたくさんの人を傷つけた。 俺は、心のどこかで、自分の力に溺れていた。
 俺は、その償いをしなければならない。。。」
「僕が君と同じ立場だったら、同じことをしたと思う。」
「違うんだよ。思うのと、実際にしてしまうことは・・・」
「そんなことで、誰もあなたを責めない!」玲子が藤宮に言う。
「たとえ君たちが許しても・・・、俺に構うな!」
苦悩する藤宮に、玲子は言った。
「確かに、人を傷つけた悲しみはわからない。
 だけど、あなたが悲しんでることは、、、わかる。 それは、放っておけないよ。
 だって、あなたが変わらなきゃ、出会った意味なんて、何も無いもの。」
その時、リザードの瀬沼が、藤宮の身柄を拘束しに現れた。藤宮はジャケットをめくり、腰にくくりつけている無数の
手榴弾を見せた。右手を差し出し、親指と人差し指にはめられた起爆リングを近づけながら言った。
「接触すれば爆発する。
 我夢、今度、会う時は手加減するな。でなけりゃお前が怪我をするぞ。」
藤宮はそう言い残して去っていく。
「本気なのか! 君は僕たちとまだ戦うつもりなのか!?」
去って行く藤宮に、我夢が信じられないといった気持ちで叫んだ。

エリアルベース
石室コマンダーに、藤宮が再び姿を消したことを告げる我夢。しかし、それでも彼を信じたいと言う我夢に、石室は
何も語らなかった。その時、警報が鳴り響いた。
「ジオベースから緊急アクセス!」敦子が、
「対空間レーザーシステムが何者かにジャックされました!」ジョジーが、緊張をあらわに報告する。
ウィルスは、ダミーが除去されたに過ぎず、本命はさらに深い所に仕組まれていたのだ。コマンドルームのモニタに、
大気圏外に浮かぶ対空間レーザーシステムが映し出された。その照準が角度を変え、どこかを狙っている。我夢が
照準先をサーチした。なんと、対空間レーザーシステムが照準を定めているのは、“ここ”エリアルベースだった!
「推進システム出力全開!エリアルベースの座標を移動する!」石室が冷静ながらも迅速に指示を下した。
「システム作動まで60秒」
「間に合いません!30秒後には直撃します!」
我夢は、コマンドルームを飛び出していった。横目でその姿を見ながら、石室は我夢に希望を託した。廊下に出た
我夢は、やりきれない気持ちで叫んだ。
「どうして、、、どーしてなんだーーー!」

宇宙空間に浮かぶ対空間レーザーシステムから、エリアルベースへ向け、遂にレーザーが照射された!その軌道
上に現れたガイアが、フォトンエッジを放ち、レーザー光線にぶつける。対空間レーザーシステムをジャックした
藤宮は、レーザーのパワーを上げた。押し戻されるフォトンエッジ。しかし、ガイアもまた、フォトンエッジをパワー
アップさせて対抗する。その時、あの“ゾーリム出現”の時と同じく、ぶつかり合ったエネルギーの束が、近くに出現
したワームホールの中へと吸い込まれていった・・・。
エリアルベースの石室が緊張した口調で言う。
「まさか、また“あの時”の・・・」
藤宮は口を開いたワームホールの中へと、小型機を突っ込んでいった。
「さらばだ!我夢!」
ワームホールの奥深く入って行く、藤宮の機体をバリヤのようなものが捕えた。そのまま前にも後ろにも行けず、
停止した。機内の計器も火花を散らす。しかも、ワームホールの奥深くから、怪獣X(クロス)サバーガが!
「ここまでか・・・!」
藤宮は、自爆スイッチの赤いボタンに手をかけた。
エリアルベースの窓から、空に閃光が走ったのが見えた。敦子が、“高エネルギー爆弾”のエネルギー反応を観測
したことを伝える。藤宮の機体は、捨て身でワームホールへと突っ込んでいったことを知った、石室と堤は呆然と
上空に広がる爆発の光を見つめた。
「ワームホール、消滅します。」
その報告と共に、石室は、ガイアも必ず藤宮の側へ居た筈だと直感し、焦りの言葉を漏らした。
「我夢・・・」

その時、地上にガイアの姿が! そして、その手の中には、気を失った藤宮が居た!
ガイアは、そっと彼を池のほとりに降ろすと、地に降り立った怪獣Xサバーガに向かって行った。頭部がまるでハリ
ネズミのような怪獣は、肉食恐竜のような体に大きな羽をつけ、おまけに左手はドリルになっている。ガイアは手から
光刃を放った。しかし、怪獣は、一瞬の間に大地の岩盤を起こし、それを盾にして攻撃を避けた。岩盤が砕け散っ
た後に、怪獣の姿がない・・・。そう思った瞬間、怪獣はガイアの真下から大地を吹き飛ばして現れた!吹き飛ばさ
れるガイア。怪獣は、今度は3体に分身してガイアを取り囲んだ。さらに、右手から無数の小さなXサバーガを飛び
出させ、ガイアに吸い付かせると、その小さなXサバーガはエネルギーを奪って自ら爆発した!苦戦するガイア!
気がついた藤宮が、ピンチのガイアを前にして自分が何も出来ないことに歯噛みした。そのやりきれない思いで、
光を失ったアグレイターを池の中へ投げ捨てる藤宮。しかし、その波紋の広がる水面には、一体しか怪獣が映って
いないことに気づいた藤宮は、腰に付けていた爆弾を本体めがけて投げつけた。爆発と共に、分身となっていた
幻影は消え去った。
爆風に吹き飛ばされる藤宮を見たガイアは、怒りをたぎらせスプリームバージョンに変身した。蹴り、投げ飛ばし、
そして、遥か上空から、体全体に赤い光をまとい、物凄い勢いでXサバーガに向かってキックを見舞った!
Xサバーガの体を貫通した瞬間、敵は木っ端微塵に砕け散っていった。

池のほとりに我夢が立っている。そこへ、藤宮が池をはさんで姿を現した。よろけながら岩肌にもたれかかる。
「我夢・・・」
「藤宮・・・」
「エネルギー分析では、完璧に再現できた筈だった・・・」
「それでわざと・・・」
「どうして!、俺を助けた!」
「甘ったれるな藤宮!! そんな償い方なんて、誰も求めていない!
 君を心配している人はちゃんと居るのに、どうして、それをわかってやらないんだ。」
藤宮は応えず、胸を押さえながら去っていった。その後ろ姿を見つめながら、我夢は一人つぶやいた。
「もう、僕たちの間に、闘う理由なんて何も無いんだよ。」


次回予告

悪夢の第四楽章

KCBが「クイーンメザード」に占領された!
超空間を舞台に、ガイア対アグルの大バトル!
稲森博士『私を、ホログラムだとでも思っているの?』


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