ガイア最新話感想

第33話

伝説との戦い

放映日

1999年4月24日

登場怪獣

伝説魔獣 シャザック


脚本

長谷川 圭一

監督

村石 宏實

特技監督

村石 宏實


ストーリー

作成

くらむぼん


カナダ・アルバータ州の森林地帯では、森林伐採による二酸化炭素の増大を抑制させる目的で、
GUARDアメリカが開発した自然循環補助システム:Ento(エント)の、実用化に向けての
最終テストが行われようとしていた。世界に数百人居るアルケミースターズの一人、20才の
女性科学者が、そのシステムを開発したという。
Entoの視察の為、我夢はジョジーを乗せ、ファイターEXで太平洋上を、一路、カナダ・
アルバータ州を目指していた。

森の中を、まるでそこに長い間住み続けているような、長いひげをたくわえた白髪の老人が、
ゆっくりと歩いている。突然、木々の間から巨大な怪物の姿が現れると、その老人は落ち着き
払って言った。
「Ah・・・、シャザック・・・」
その怪物は、針ねずみを巨大化させたような姿をしている。背は無数の針状の刺で覆われている。

森の中の別の場所では、その怪物にライフルの狙いを定めている金髪の女性の姿があった。
その女性は、全身を黒い皮のスーツに身を包み、美しい顔には似合わず戦闘的な格好をしている。
しかし、森の中に現れた怪物は、すぐにその姿を透明に消してしまった。
森林地帯の上空を飛ぶEX。突然、コックピットの中に警報音が鳴った。ジョジーが不安げに
我夢に聞く。それは、巨大生物を検知した際の警報音だった。しかし、上空からは何も見えない。
急遽、我夢達は巨大生物の反応が出た地点にEXを着陸させた。森の中を歩く我夢とジョジーの
前に、一人の老人が現れ、何かを叫んでいる。
“Stop! Leave this place! If you enter this forest, SHAZAC will be angry!”
ジョジーが我夢に言う。
「“森に入ればシャザックが怒る。早く立ち去れ。”って言ってる。」
その時、GUARDアメリカのコマンド部隊が数台のジープで現れ、物々しい雰囲気で現れた。
その彼らをも、その老人は止めようとした。しかし、老人の制止を無視して、部隊は銃を手に
森に散らばって行こうとする。そこへジョジーと我夢が、どうしたのか聞きに来た。数日前から
森に怪物が現れ街の人々が避難してしまい、開発者が怪物を倒そうと森に入っていったので
Entoの実験がStopしてしまった、彼らはその人物を探しに来たのだと言う。
その時、突然、咆哮と共に森の木々がバキバキと音を立て次々と折れた。それが徐々に、我夢達
の方へと近づいてくる。何も居ない、何も見えないのに、次々に木々が自ら折れていく。GUARD
アメリカ部隊の隊員達が、見えない何かに一斉にライフル銃を発砲するが、構わず木々が折れる
場所が近づいてくる。ジョジーらを守る為に、我夢は囮になって、銃からビームを発砲しながら
違う方向へと、“何か”を誘導した。木々が折れるのは、我夢の方へと方向を変えた。逃げながら
発砲する我夢。しかし、彼は高い崖の縁にまで追いつめられてしまった。木々は次々に我夢の方
へと折れ、近づいてくる。上空から、何か白い無数の針のような気体状のものが吐き出され、
我夢を直撃した。危うく墜落を免れた我夢は、エスプレンダーを手にした。しかし、次の瞬間に
再び襲ってきた白い針状の気体の直撃を受け、たまらず我夢は崖からまっ逆さまに落ちていった!

我夢のお陰で助かったジョジーが、連絡もとれず戻らない我夢を心配しながら、エリアルベース
にそのことを報告する。至急、我夢の捜索の為、チームファルコンが発進した。シャザックは、
この地方の古い言い伝えで、森を荒らす人間をさらい食い殺す魔物だということを聞いたジョジー
は、まさか我夢が・・・と、気が気でない。

その我夢は、川の中に落ちて大きな岩にうつ伏せて倒れていた。気がついた我夢は、奇跡的に助
かっている自分に驚いたが、握り締めたエスプレンダーの側に、ガイアとアグルの光が見守るよ
うに輝いていた。その光達が我夢を守ってくれたのだ。ジョジーに連絡を取ろうとするが、XIG
ナビを落としてしまい連絡ができない。その時、川のほとりの岩場に立った黒づくめの金髪の女性が、
“3つ数える間に川から出ろ!"ワニ"に食われるわよ!”と、声をかけてきた。慌てて川から出る
我夢に、笑って“バーカねぇ、ワニなんている筈ないじゃない。”とからかいながら、その女性は
言った。「君、XIGだよね。ワタシの仕事を手伝ってくれないかな?」

我夢はジープに乗せられ、強引にシャザックのねぐらに連れてこられた。
「君、一体、何者なんだ?」
「XIGって、怪獣退治が専門でしょ。」
「そう・・・だけど・・・」
「なら、ごちゃごちゃ言わず協力して。」
そう言って謎の女性は、大きな洞窟の暗がりめがけライフルを発砲した。突如、地響きが起こり、
シャザックが目覚めた。既に、謎の女性はジープに乗り込み走り出した。我夢も慌てて後ろから
飛び乗る。「もう、やること目茶苦茶!」と我夢は、彼女のあまりの強引さにぼやいた。しかし、
ぼやいている暇はない。後ろから怒りに我を忘れたシャザックが、姿を現して追いかけてくる。
どうやら彼女は、猛スピードでジープを走らせ、怪獣をどこかへ誘導していくようだ。シャザック
は姿を消して追いかけてくる。次々に折れる木々が怪獣の存在を知らせる。そこにある手榴弾を
投げて怒らせておけば消えないと指示された我夢は、追いかけてくるシャザックめがけ、準備され
た手榴弾を次々に投げつけた。再び姿を現すシャザック。そのままジープは崖まで直進し、転落
する寸前、彼女の指示で我夢達はジープから飛び降りた。ジープと共に、勢い余って遥か崖下まで
転落していくシャザック。「最後の仕上げはこれよ」と、事前に設置してあった爆薬のスイッチを
彼女が入れると、崖下から激しい爆発の炎が吹き上がった。
“It's so foolish.”
ジョジーらと共に森の中で、爆発音を聞いた老人が哀しげに呟く。

ジョジー達の元へ、チームファルコンのメンバーが到着した。ジョジーは責任を感じて、自分も
一緒に探すと言うが、米田は「私達に任せてください」と言って、我夢の捜索に向かった。

その女性は、切り立った崖の壁面に作られた人がなんとか通れる幅の道を、平然と歩きながら、
我夢に語りかける。
「もう、これでくだらない伝説もピリオドね。」
「でも、どうして君は怪獣を?」
彼女の後ろで壁面にへばりつき、眼下に広がる森を見下ろしながら、恐々と歩く我夢が問いかける。
「ワタシが子供だった頃、この土地はすごく活気に溢れていた。
 しかし、森林伐採の深刻な問題が、ここからそれを奪ったわ。」
「まさか、君・・・」
「失った活気を取り戻したかった。ワタシの“この才能”を使って。」
「Entoの開発者、キャサリン・ライアン!?」
その女性は、Entoの開発者、キャサリン・ライアンだった。アルケミースターズの一人である
彼女は、我夢に対して言う。
「君もアルケミースターズならわかる筈よ、ワタシ達が、なぜ今の地球に生まれてきたのか。」
「僕達を必要とする人々が居るから、、、その人達を守る為・・・」
「ワタシも守ろうとした。この森に生きる人間達を・・・」
しかし、森に生きる人々は、キャサリンの研究が“また”魔物を怒らせたと避難していった。祖父達
までもが・・・。森に再び活気を取り戻そうと考えてキャサリンが開発したEntoは、人々に理解
されなかったのだ。彼女が森にこだわるのは、科学者だった彼女の両親が、森の研究をしているさ中
に不慮の事故で亡くなったこともあるのかもしれない。我夢は、彼女の両親の事故がシャザックに
よるものと思い込んだキャサリンが、その復讐の為に怪獣を憎み殺したのではないかと疑った。
「ワタシが怪獣を退治したのは、自分の正当性を皆に認めさせる為だわ!」

いつの間にか雪が静かに降る中、突然、再びシャザックが咆哮をあげ、地響きとともに姿を現した。
爆発で死んではいなかったのだ。キャサリンは、信じられないと驚きながらも、洞窟に隠してあった
バズーカ砲を持ち出した。
「やめろ。余計、奴を刺激するだけだ。」
「邪魔しないで!アイツだけは絶対許せない!」
「やっぱり、君はあの怪獣を憎んでいる。」厳しい表情でキャサリンを制止する我夢。
「科学は、自然の中で人が生きる為に与えられた素晴らしい力よ。
 それを、伝説なんかに否定させやしない!」
しかし、キャサリンも強情に引き下がろうとはせず、シャザックに対してバズーカ砲を放った。
こちらの方を向いたシャザックは、口から白い針状の気体を吐き出した。我夢とキャサリンは、その
攻撃を食らってしまい、気を失ってしまった。その光景を見たチームファルコンが、上空から攻撃を
加える。気がついた我夢が、キャサリンを抱き起こして呼び掛けた。うっすらと目を開けたキャサリン。
「ワタシや、ワタシの両親がしてきたこと、間違ってたの?・・・」
「そんなことない!・・・そんなこと。」
「そう・・・だよね。」キャサリンは安心したように笑みを浮かべながら、再び意識を失った。
厳しい表情で、我夢は自分に言い聞かせるようにして、叫び、エスプレンダーをかざした。
「怒りや憎しみで闘うんじゃない。ただ、守りたいだけだ。・・・ガイアーーー!」

ガイアはシャザックに対して手刀攻撃を加えるが、背中の刺が突き刺さり、直接の攻撃ができない。
シャザックは突如、丸まって背の刺で身を覆う。ガイアは蹴りつけるが、刺の防御に文字どおり、
手も足も出ない。ガイアの周囲を回りはじめた球状のシャザックは、ガイアに刺で覆った体のまま体
当たりする。苦戦するガイア。その時、キャサリンの意識が戻った。
「我夢・・・、!あれが、、、ガイア・・・」
苦戦するガイアの姿を見たキャサリンは、バズーカを構えてシャザックに照準を定めた。
ガイアもスプリームバージョンへ変身し、必殺光線フォトンストリームの構えに入った。その時、
シャザックの背後で、子供の鳴き声のような咆哮と共に、小さなシャザックが現れた。とまどうガイア、
キャサリン、そしてチームファルコン。
キャサリンの脳裏に、幼い頃、父と母と森を散歩したときの記憶が蘇る。
「人間も、この森と同じ自然の一部なのよ。」母が語り掛ける。
「私達は、その素晴らしさを知る為に、科学者になったんだ。」父が語り掛ける。
キャサリンの心に何かが灯った。
「ヤメテーーー! Please!」フォトンストリームを放とうとするガイアに向かって叫んだ。
ガイアも攻撃の姿勢を崩し、並んで立つシャザック親子を見つめた。シャザック親子は、背を向け、
森の中に歩き消えていった。振り返りキャサリンを見下ろしたガイアは、静かに頷いた。

遠く森林を囲んでいる雪に覆われた山々が、夕暮れの光を照らしている。湖のほとりを歩く我夢と
キャサリン。穏やかな表情で、静かに彼女が語った。
「Entoのプログラムに欠陥があることが分かったの。
 もし、強引に実験を続けていたら、この森を本当に殺すことになってたかもしれない。」
「あの怪獣は、まさか、それを知っていて・・・」
「自然には、まだ知るべきことがたくさんある。シャザックは本当に森の守り神だったかも・・・」
その時、我夢を探しに来たジョジーやファルコンメンバーの仲間達が集まってきた。森の老人も、
じっと、我夢とキャサリンを見つめている。
「人と自然を生かす為、その両方をもっと理解する努力が必要ね。
 See you again,Gamu!」
キャサリンは、そっと我夢の頬にキスして、去っていった。老人の隣に立ち、我夢達に手を振る
キャサリンに、我夢はそっと言った。
「きっと答は見つかるさ。地球はまだ僕達を見放したわけじゃないんだから・・・」

次回予告

魂の激突!

夢をつかむため、すべてを捨ててプロレスラーになった男。
だがプロの道は厳しかった。彼の心の隙に侵略の魔の手が!
プロレスラー「橋本真也」もでるぞ!


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