ガイア最新話感想

第30話

悪魔のマユ

放映日

1999年4月3日

登場怪獣

ゴキグモン


脚本

増田 貴彦

監督

原田 昌樹

特技監督

原田 昌樹


ストーリー

作成

くらむぼん


-----ある日の日曜日、エリアルベース-----------
「これ、あげます。・・・ちがうな・・・これ、どうぞ。」
何やら廊下で我夢は、ドライフラワーの花束を手に、渡す時の練習をしている。一体、誰にあげようとしているのか?
「なんだ、我夢。俺に何か用か?」
そこへ現れたのは梶尾だった・・・。
「梶尾さん!・・・この花、受け取って下さい!!!」<(_ _)>
我夢は恥ずかしそうに下を向きながら、手にした花束を梶尾に突き出した。
「おまっ・・・お前・・・ウソ___・・・」(-_-;
コマンドルーム前の廊下では、敦子は何やらソワソワしている。
「我夢の奴、うまく渡してくれたかな・・・」
そこへ現れ「どうした?」と聞いた石室コマンダーは、
「何でもないです!」と言う敦子の顔を、下からジロジロと覗き込んだ。
 その時、エリアルベースに警報が鳴り響き、石室は急ぎコマンドルームへと入っていった。
オペレータは敦子の代りに彩花が入っている。
「未確認飛行物体です。」
月の方面から地球へ向かってくる怪獣がメインモニタに映し出された。思わず敦子とジョジが言う。
「うわぁ_、何よこれぇ!」「気持ち悪_い!」
「ゴキブリと毒グモが合わさったような・・・」と言う千葉参謀の言葉に我夢が叫んだ。
「決めた!怪獣名は“ゴキグモン”!」
「ちょっと_」と敦子がたしなめるが、マジメな表情で固まっていた石室は、
「・・・!。それでいこう!」と、我夢の言葉に便乗した。
堤チーフが怪訝そうに「コマンダァ_」と言うが、石室も、何か文句あるかと堤に目を向けた。
(今日のエリアルベースのスタッフは、変なモノでも食べたのかもしれない!?)
 出動したファルコンが一斉攻撃を仕掛ける寸前、ゴキグモンは急に方向転換し各機の間を猛スピードで飛び抜けていった。
巻き起こった乱気流で、ファルコン各機は失速してしまい、ゴキグモンに逃げられてしまった。
-----昼過ぎの、とある東京湾岸の公園----------
 一人の女性が哀しげな表情で、ドライフラワーの花束をたむけ空を見つめていた。「あなた・・・」
重い足取りでそこを去っていくと、ビルの下の街路樹に風船が引っかかり、少女が泣いている。
立ち止まり「お姉ちゃんが一緒に取ってあげる」と少女を励ました、丁度その時、
上空に飛来したゴキグモンが目の前に降り立ち、口から白い泡を吐き出した。
あっという間に二人は繭のように包まれ、どこかへ引き上げられてしまった。隣のビルも繭のようにされている。
 夕暮れの中、気がついた二人はそのビルの中にいた。体が繭の中に閉ざされ、身動きがとれない。
「大丈夫よ、もうすぐXIGの人達が助けに来てくれるから。」
そう少女を励ました時、その言葉通り、チームシーガルのフローターが窓越しに見えた。
我夢のEX機も同行している。怪獣に麻酔弾を撃ち、ビルに閉じ込められた人々の救助を開始した。
二人が居る7階へはリーダーの神山が、フローターからロープで降り、救助に向かった。
ヘルメットに取り付けられたカメラが映し出す映像は、エリアルベースでもモニターしている。
それを見た敦子が思わず叫んだ。
「お姉ちゃん!」
救助に来た神山に、敦子の姉は「私より先に、あの子をお願いします。」と言う。
ライトが照らし出した先には、同じく繭に閉じ込められた少女が居た。
 EXで上空に待機している我夢に、堤から連絡が入る。
「何ですって!あの人が敦子のお姉さん!」
「そうだ。救助が終わったら、収容先の病院を知らせてやってくれ。」
「了解!」
 その時、予定よりも早くゴキグモンが目覚めてしまった!敦子の姉、律子の救助がまだ済んでいない。
「私のことはいいから、その子を連れて早く逃げて下さい。」
「怪獣接近!」ビルに横づけして飛んでいるフローターから、松尾が叫ぶ。
神山はXIGナビを手から外し、それを律子に渡して言った。
「これを持っていて下さい。必ず・・・必ず、後で助け出しますから。」
神山は「あと一人だというのに!」と歯噛みながら、フローターから伸びたロープにつかまり退避した。
 ゴキグモンの尻尾から、管がビルに伸び、卵が次々と産み落とされた。律子の目の前にも卵が産み落とされ、
怪しくオレンジ色に光っている。東京湾岸の公園へ降り立ったチームシーガルと我夢は、その光景を見て動揺した。
百体もの卵が、あと1時間で一斉ふ化して律子に襲い掛かる。
 そんな折、律子がたむけたドライフラワーを、マイケルが偶然に見つけた。
敦子から預かった花が姉のだと知っていた我夢は、一目でそれが律子のものだと気づく。
「何としてでも助け出さなければ!」
 エリアルベースでは繭の分子構造を解析した結果、極めて可燃性が高いことが判明した。
一刻を争う状況の中、石室は言った。
「敦子と彩花は交代だ。」
「コマンダー!」責めるようにジョジが声を上げるが・・・
「ミッションエリア内に肉親がいる場合、当該担当者はその任から外されるのが、XIGの服務規程だ。」
「わかりました・・・」と了解して席を立った敦子を気遣い、堤がジョジに聞いた。
「佐々木律子さんの生命反応は?」
しかし、ゴキグモン卵体の生命反応の方が大きく、特定できない。
律子が持っている筈のXIGナビからは、依然、連絡がない。あと30分で卵が一斉ふ化してしまう。
「コマンダー、決断を・・・。もう時間がない。」苦しい表情で言う千葉に、石室は苦渋の決断を下す。
「ファイターに、ファイヤーBOMを搭載。」
 エリアルベースからの命令を待っていたシーガルの隊員達の元に、堤からコマンダーのミッションが通知され、
二次災害に備えるよう命令が下された。マイケルが叫ぶ。
「人質モロトモ、焼キハラオウナンテ!・・・」
「突入しましょう!俺達はレスキュー隊です!見殺しには出来ません!」
憤慨してビルへ向かう松尾隊員。マイケル、我夢も続いた。しかし、神山リーダーが制止して言った。
「やめろ!命令に従うんだ!俺達が行って、ビルから抜け出せなくなったらどうする?民間人だけじゃ
 ない。梶尾は仲間まで撃ち殺すことになるんだぞ。そんなドロをあいつにかぶせる気か!?」
ハッとした表情になる松尾達。神山の指示で、松尾は上空から、マイケルは神山と共に地上から、
二次災害に備えるため向かった。
 ミッション遂行の命令を受け、チームライトニングが部屋から出てきた。
廊下に居た敦子は力なく声をかけたが、梶尾はそれに応えず、ただ前を見つめ厳しい表情で格納庫へと向かって行った。
窓越しに、夜空に飛び立って行くファイターを見つめる敦子・・・。
 梶尾の脳裏に、サイコメザードとの戦いの際に律子と偶然出会った記憶がよぎる。
一斉ふ化5分前にライトニングが到着。梶尾は有無を言わせぬ口調で言った。
「ファイヤーBOMは、俺が撃つ!」
そして、ビルの中央にターゲットを固定した。地上で見つめる我夢は、エスプレンダーをかざし叫んだ。
「こんなことさせちゃいけない!ガイアー!!」
 梶尾の目の前に赤い光が広がり立ちふさがるようにガイアが現れた。
しかし、ゴキグモンの吐く白い泡によって、あっけなく繭の中に閉じ込められてしまった。
 卵の一斉ふ化まで、あと3分・・・
「俺がやらねば!・・・目標!・・・ビル中央部!・・・ファイヤーBOM発射!!」
遂に梶尾は発射ボタンに手をかけた。ビル目掛けファイヤーBOMが飛んで行く。
が、命中直前、ゴキグモンは、それを弾き返し、別のビルに着弾し燃え上がった。
しかし、二次災害に備えていたシーガルが消化弾を撃ち、火災を食い止めた。
 梶尾はファイターを律子の居るフロアに近づけ、中の様子を伺っていた。
その時、繭を弾き飛ばして、姿を現したスプリームバージョンのガイアは、梶尾に救助するよう頷く。
卵の一斉ふ化まで時間が無い。一刻一秒を争う中、梶尾はファイターからビルへ飛び移り、律子を繭から救い出した。
「梶尾さん・・・」見つめ合う梶尾と律子・・・
「もう大丈夫だ。」梶尾のその言葉に安心したのか、律子は梶尾に身を任せ気を失った。
梶尾は律子を助け出すことができた。ファイターに乗せ、緊急発進する。
 ゴキグモンを投げ飛ばしたガイアは、そのまま必殺技フォトンストリームで、一気にケリをつけた。
梶尾の指示で北田、大河原は、ファイヤーBOMを撃ち込み、ビルごと全ての卵を焼き払った。
闘いを終え、ガイアはネオンの美しく輝く街の夜空に飛び去って行った。
「良かったですね、神山リーダー。」松尾がナビで喜びを伝えた。
「ああ、ドロをかぶせずに済んだよ。」
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 病室で寝ている律子を、梶尾は見つめ立っている。
「・・・梶尾さん・・・」
「なぜ、ナビで助けを呼ばなかったんですか。」
「私一人の為に大勢の人が犠牲になる。そう思ったら・・・。それに、あそこは主人が死んだ場所です
 から。なんだか、あの人に怒られる気がして・・・。あの人、防衛隊のパイロットでした。あそこで、
 怪獣と戦って亡くなったんです。」(それは、C.O.V.との戦いを言っているのだった。)
「自分は、あなたの居るビルを焼き払おうとしました。言い訳はしません。それが任務ですから。」
そう言って、立ち去ろうとする梶尾に、律子が言った。
「あの人が、もし生きていたら、きっと同じことをしていたと思います。」
その言葉を背中で聞きながら、梶尾は病室から出て行く。廊下で待っていた我夢と敦子の間を、
黙って通り過ぎ、梶尾は、一輪の薔薇のドライフラワーを見つめ、病院から去って行った。


次回予告

呪いの眼

戦国時代にまでさかのぼるガンQの野望とは?
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