ガイア最新話感想

第14話

反宇宙からの挑戦

放映日

1998年12月5日

登場怪獣

反物質怪獣 アンチマター


脚本

武上 純希

監督

佐川 和夫

特技監督

根本 実樹


ストーリー

作成

くらむぼん


ストーリーのみの掲載です

 木星軌道上で、TNT火薬5Gtレベルの大爆発が起こった。そんなエネルギーがそこにある筈がないと
動揺するコマンドルームに、我夢が飛び込んできた。反物質の存在を示すγ線バーストが観測されたと言う。
『反物質』、それは、物質を構成する素粒子の電化が、我々の世界とは全く逆のものを指していう。
我夢に説明されるが、ますます混乱した千葉参謀は言った。
「その・・・、反物質でつくられた私は、・・・“女性”ということか!?」
さすがに石室コマンダーもその言葉にギョッとして、まじまじと千葉の顔を見つめた。
我夢も困ったように、コマンダーの顔をチラリと見ながら言った。
「いや、、、それは、ちょっと・・・違うんですけど・・・」
 コマンドルームのパネルに、ジオベース科学研究セクション量子力学部門の星山博士が映し出され、
反物質のレクチャーが始まった。混乱を極めていた千葉も、“1gの反物質が物質と衝突した際に生じる
エネルギーは、10の14乗J。つまり、4万tの水を一瞬にして蒸発させるエネルギーである”との説明
に、その凄まじさを理解した。
 その時、木星付近のワームホールから現れ、急速に地球に接近している反物質体をとらえた。
アンチマターと呼称されたその反物質体は、1週間で地球へ到達するという。想像を絶する危機に、
さすがの石室も言葉を無くす。反物質である敵と、一体どう戦えばいいのだ!?
その時、我夢が決意して言った。
「やってみます! やらせてください!」
石室は、アルケミースターズである我夢の能力に、地球の運命の全てを託した。
「我夢、対アンチマターシステム開発を命ずる!」

 我夢はジオベースへ急行し、星山博士から反陽子発生装置を見せてもらう。それを利用し
“対アンチマター変換システム”を開発しようという我夢に、博士は「理論上は可能だが・・・」と
躊躇する。そんな博士に我夢は、勇気づけるように言った。
「いくつかの応用技術は、僕の友達が、“アルケミースターズ”が協力してくれます!」
 我夢は、ディスプレイに映し出されたアランに、48時間のうちに“対アンチマター変換システム”の
設計図を完成してくれるように頼む。倍の時間が欲しいと言ったアランだが、アリーやナタリーの
スパコンもまわしてもらい、並列処理でなんとか間に合わせると約束した。世界のアルケミースターズ
が、力を結束させた!我夢も休む間もなく、専門書を首っ引きにコンピュータを駆使してシステムの
完成を目指す。そして、遂に、彼らの地球を思う気持ちが、システムを完成させた!

 エリアルベースの千葉参謀は、満面の笑みを浮かべ言った。
「奇跡だ。わずか5日間で迎撃態勢を整えられたとは。。。新しい世代の登場だな。」
石室コマンダーは感情を表に出さずに言う。
「彼らは天才集団ですが、地球を愛するという思いは同じです。」
「それで、奇跡が起こせたと。。。」
「それが・・・アルケミースターズです。」
そこへ作戦遂行の人選を決定した堤チーフが、我夢と共に入ってきた。チームファルコンに白羽の矢が
立った。ライトニングの方が実戦経験が豊富なのになぜ?と反論する我夢に、堤は言った。
「今回のミッションは、死を前にしても、決して崩れることのないチームワークが必要だ。」
今回のミッションでの失敗は、即、地球滅亡を意味する。出頭したファルコンメンバーに我夢は言った。
「あの・・・わかっているんでしょうか?今度の任務は大変危険で、もし失敗したら爆発の波動で//」
「わかっています。説明を始めて下さい。」
リーダーの米田が、さえぎるようにしてキッパリと言った。
 作戦遂行の説明を終え、自室へ戻る途中の我夢を、米田リーダーが呼び止めた。「待って下さい!」
廊下でファルコンメンバーと我夢が向かい合った。
「君の発明は、こうやって形として世の中に残る。
 でも、どんなに苦しい訓練に明け暮れても、私達の仕事は形に残ることはない。」
「でも・・・」
「感謝しているんです。私達にぴったりの花道をつくってくれて。」
米田リーダーは、死を覚悟しているように、そう語った。
「地球の平和を守る為なら、自分達の命は惜しくありません。」
「いつピリオドが打たれても、後悔する人生は送っていません。」
林隊員が、塚守隊員が、まるで死にに行く者が残すような言葉を、米田リーダーと同様に語った。
その言葉を聞いた我夢は、死をもいとわぬファルコンのメンバーに戸惑いながらも、地球を守る為に
闘う男達の後ろ姿を、敬意を表して見送った。

 地球の運命を背負い、チームファルコンは出撃した。成層圏に待機するファルコン各機から、
エリアルベースを発艦したピースキャリーの堤に連絡が入る。
「アンチマター、目視しました!」
「対アンチマター変換システム、スタンバイ。射程範囲まで、あと2000。」
堤はいつものように冷静にミッション遂行の指示を出して行く。エリアルベースのスタッフは、
彼らのミッション遂行を、固唾を飲んで見守っている。そして、堤からミッション遂行の命令が出た。
「アンチマター、射程範囲突入。作戦開始。」
米田リーダーからの指示が入り、ファルコンの各隊員は、緊張した面持ちで作戦を開始した。
「各機、標的固定!対アンチマター変換システム発射!!」
反物質を物質へと変換させるビームが、ファイターから一斉に発射された!
しかし、アンチマターの周囲を覆うシールドが、ビームを反射してしまった。
「バリオン数反転は起こっていません!」
米田の、林の、塚守の表情が硬直する。アンチマターの進路に待機する彼らに、堤は緊急命令を下した。
「戦線を離脱せよ!」

 エリアルベースでは、大至急、落下地点の市民の避難を指示した。幸いにも大爆発を起こすことなく、
アンチマターは、街に降り立った。そして、貝のように閉じていた外殻を開き、イソギンチャクのよう
な姿を現した。頭部にある二本の角を回転させると、シールドが徐々に広がり、次第に街を呑みこみ
始める。街は、避難し逃げ回る市民でパニック状態だ。エリアルベースのスタッフは、ただ黙って、
その光景を映し出すモニタを見つめることしかできないでいる。その映像を見ていた我夢は、流れに
逆らって、アンチマターに向かって行く藤宮を発見した。緊急出撃する我夢。その間にもアンチマター
は、シールド内に取りこんだ街を反物質へと変えていく。
石室コマンダーが、煮詰まってつぶやく。
「移動もせず、シールドだけを広げて行く・・・あいつには意思があるのか?目的は一体、何なんだ・・・?」

 街に降り立った我夢は、アンチマターを見つめながら、どう戦えばいいのか考えあぐねていた。
そこに、藤宮が現れた。
「宇宙創世の時、反物質より物質がわずかに多かった為、今の宇宙ができたと言われている。そのため、
 反物質は異次元に封印されてしまった。」
「何が言いたいんだ!」
「アンチマターは、地球を反物質にしてシールドを消す。」
「そんなことしたら、宇宙そのものが消えるぞ!」
「もう一度サイコロを振り直せば、1/2の確率で反物質の宇宙が出来る。」
「奴は、宇宙を創り直すつもりか! そんなこと!」
我夢は激してエスプレンダーをかざそうとしたが、藤宮は我夢を制して言った。
「ウルトラマンの質量を考えろ!シールドの広がりを無視して突入したら、巨大な爆発が起こるぞ!」
「どうしたら・・・」
「アグルのパワーでガイアのバリオン数を反転させれば、反物質ウルトラマンになれる。」
「やれるのか!?」
「だが、反物質化したウルトラマンがどうなるかは保証できない。それに、もし俺が気まぐれを起こし、
 お前を元に戻さなければ、お前は反物質の世界に留まるしかなくなる。それでもいいのか。」
藤宮はニヤリと不敵な笑みを浮かべながら言った。しかし、我夢に選択の余地はない。自分が反物質化
して闘わなければ、一体、誰が地球を守れるというのだ!? 我夢は意を決して、藤宮に全てを預けた。
「反物質化したら、すぐにシールド内にワープしろ!わかったな!」
藤宮と我夢は、それぞれアグレイターを、エスプレンダーをかざした。

「我夢からの連絡は?」「何か打つ手はないのかね!」なすすべなく動揺するエリアルベース。その時、
アンチマターの上空に2つの光が輝いた!
「2人のウルトラマン!!」敦子とジョジは歓喜して叫んだ。
アグルのライフゲージから、ビームがガイアのライフゲージへ。一瞬にして消えたガイアはシールド内
に居た。アンチマターと戦うガイア。シールドを広げている2本の角をクァンタムストリームで破壊
するが、吹き飛ばされた肉片がシールドの外へ出てしまう!それもまた反物質なのだ!
 その時、上空からチームファルコンのファイターが現れた。
「これは俺達の仕事だ!ターゲット固定!対アンチマター変換システム発射!!」
次々にシールドの外に飛び出した肉片を、ビームがもらさず捕えた。
「バリオン数反転に成功!反物質は物質化しました。」
すんでのところで危機を救ったファイター各機を見つめるアグル。物質化した肉片はアグルのビームに
よって消滅した。しかし、破れたシールドは急激に小さくなってゆく。このままだと、反物質である
アンチマターがむき出しになってしまう。アグルは、シールドの破損箇所を応急的にビームで閉ざした。
ガイアとアグルは互いに頷き、ガイアはアンチマターを抱え空へと飛び立った。アグルも後につづく。
 宇宙へアンチマターを連れ出した2人のウルトラマンに、エリアルベースのスタッフは歓声をあげた。
千葉が差し出した手に、握り締めていた手の汗を拭き、敬意を表わして握手を交わす石室コマンダー。
 ガイアは木星付近のワームホールへアンチマターを放り投げ、アグルはその入口をビームで閉ざした。
反物質のままのガイアはアグルに元に戻してくれるよう頼むと、アグルは一瞬ためらいを見せたものの、
ガイアにビームを放った。そして2人のウルトラマンは、地球へと帰っていった。

 エリアルベースに戻ったファルコンメンバー。米田が林や塚守に複雑な思いで語った。
「また、ここへ戻ってきてしまったな。」
「地球を守る為に、これからも命を張りつづけろってことですよ。」
「僕たちは、いつまでも米田さんについていきます。」
何をか胸に秘め、固い絆で結ばれたファルコンのメンバー達。

 つかの間の平和が戻った街の夕暮れ・・・
我夢は藤宮に、握手の手を差し出しながら言った。
「君となら、きっと2人で人類を守ることができる。」
「・・・勘違いするな。」
そう冷たく言い捨てて、藤宮は去っていった。その後ろ姿に向かって我夢はつぶやいた。
「僕は信じている。同じ地球の子なんだから。」


次回予告

雨がやんだら

何故こんな色の雨が?次々に巻き起こる怪現象の裏で、奇怪な恐怖が産声を上げる。
緑の雨には気をつけろ!


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