ガイア最新話感想

第13話

マリオネットの夜

放映日

1998年11月28日

登場怪獣

超空間波動怪獣
サイコメザード


脚本

長谷川 圭一

監督

佐川 和夫

特技監督

根本 実樹


ストーリー

作成

くらむぼん


ストーリーのみの掲載です

第13話「マリオネットの夜」

〜城岩町〜
深夜の温泉街で、一人の少年が何かから逃げ回っていた。暗闇の中にいたる所で携帯電話の音
が鳴り響いている。突然、目の前に少女が現れた
「あっ、おねえちゃん!・・・」
その少年の姉はニタリと笑みを浮かべ言った。「電話だよ・・・たかし・・・」
少年を囲むように、周りから人々がゆっくりと近づいてくる。周囲にはけたたましく携帯電話
の音が鳴り響いていた。

その頃、KCBの田端は、以前に砂漠化した街から救助された人々のVTRを調べていた。
救助された人々は口を揃えて、“何かに頭の中を覗かれていたようだった”と答えている。
考えをめぐらす中、子供の字で差出人が“佐藤たかし”とある一通の大きな封筒が落ちた。
そこの住所には“城岩町”と書かれていた。

〜エリアルベース〜
我夢はネットワークでマコト達と談笑していた。マコト達は笑いながら“佐藤”がまた彼女に
フラれて、ペンションをやっている実家の“城岩町”へ帰ったと言っていた。我夢も、大学の
仲間たちの変わらない様子に、相変わらずだな、、、と笑みをこぼした。

〜とある飲み屋〜
KCBの田端は倫文を相手にくだをまいていた。上司から、根源的破滅招来体なんて小難しい
理屈なんか振り回すから視聴率が取れないんだ!と注意を受けていたのだ。明日は“城岩町”
の温泉取材ですよ!と元気を出すように励まされた田端は、その地名にピン!ときた。
急ぎ仕事場に戻り、佐藤たかし君から送られてきたビデオを見る。そこには、どこかの外国の
街で起こった暴動の様子が映し出されていた。田端は外信部にツテのある倫文に、映っていた
看板を調べてもらうように指示した。

〜城岩町〜
佐藤は久しぶりに実家へ帰ってきた。バイクを飛ばしてきたが既に夜になっていた。門のベル
を鳴らすが誰も居ない・・・。その時、林の中から妹が現れ兄に近づいてきた。
「電話だよ・・・お兄ちゃん・・・」
彼は?と思いながらも携帯電話を受け取った。

翌日、KCBの3人組は温泉取材の為、森に囲まれた道を城岩町へと向かっていた。暴動の
ビデオと何か関係がある筈と別の目的で力の入る田端に、“マジメに”温泉の取材しようよ〜!
と玲子がすねる。その時、彼女は車の窓越しに人を見かけた。
「今の人!?なんか、どっかであったみたいな・・・?」
走りすぎる車を見つめる一人の男・・・彼は藤宮だった・・・
町に近づいたKCBの車は、なぜか突然パンクし、倫文に修理を任せた田端と玲子はやむなく
歩いて町を目指す。それを木の影からニヤリと笑いながら見つめる警官がいた。
倫文がタイヤ交換をしていると、突然ラジオが勝手に流れ携帯電話も鳴り出す。不審がる彼に、
いつの間にか鉄パイプやゴルフクラブを手にした人々が近づいてきた・・・
ようやく城岩町の佐藤たかし君の家にたどり着いた田端と玲子は、門のベルを鳴らすが誰も出
てこない。そこに昨日帰ってきた兄が外から現れた。
「電話・・・、これ、とっても気分がいいんだぁ・・・」
不敵な笑みを浮かべた彼は何かに取り憑かれたように言った。さらに林の中から棒などを手に
した人々が寄ってくる。人々の異常な行動に逃げた二人は、バイクで倫文の所まで戻ってきた。
しかし倫文も居ない。動揺する玲子に「こんな時こそ冷静になるのが報道ってもんだ」と叱咤
する。突然、携帯電話が鳴った。恐る恐る田端は出るが、そこから聞こえてきたのはKCBの
外信部からの連絡だった。ビデオに映っていた街はアメリカの小さなリゾート地で1ヶ月前に
突然凶暴化した市民の暴動により閉鎖されたのだと言うが、なぜか話の途中で切れてしまった。
するとカーナビの画面にその映像が勝手に映し出された。動転する二人。さらに今度はそこに、
今の二人の姿が映し出された。まるで背後から誰かが撮影しているかのような映像が。“それ”
は徐々に二人に近寄ってくる!パニックの二人。突然、田端が頭を押さえて倒れた。
「!頭痛が、、、まるで、何かが頭ん中触わってるみたいだ、、、」
そこに武器を手にした人々が集まってきた。苦痛に耐えながら田端はカメラを肩に背負い、
この状況を局に伝えろと玲子を逃がす。
「俺は、、、俺の、やり方で、、、闘ってやる!」

〜エリアルベース〜
我夢は敦子ともめていた。何も異常は無いと言い張る敦子と、どうしても気になると言う我夢。
何事だと、コマンダーが入ってきた。城岩町にマイクロ波による微量な電波干渉が確認され、
確かに異常というレベルではないものの気になる。調査に行かせて欲しいと我夢はコマンダー
に頼みこんだ。
夕焼けに染まった雲の上、エリアルベースからファイターEXが射出され発進していった。
コマンドルームの窓からファイターを見つめる石室に、堤チーフが言う。
「我夢には我々と違った感覚がある。。。例えば、未知の危険を察知する能力のような。。。
 コマンダーもそうお考えですか。」
石室はしばらく考えて言った。
「その能力を大事にしてやってくれ。」

〜城岩町〜
逃げてきた玲子は森の中で警官に会い、助かったと言うように助けを求めた。
「おまわりさん!・・・?」
しかし、警官はニタリと笑いながら銃口を玲子に向けた。事態が飲み込めず立ちすくむ玲子。
ドォーン!と銃声があたりに響いた!
玲子は顔を覆った手の間から恐る恐る目の前を見る。警官はそこに倒れていた。そして、一人
の男がそこに立っていた。
「あなた、いつか砂漠の街で・・・」
玲子は、以前、クラゲの形をした波動生命体メザードによって砂漠化されてしまった東京湾岸
で、砂の上に目撃した男のことを言っていた。その男は藤宮だった。
「ヤツらは人に興味を持っている。砂漠化した街も、ここも、その実験場所として選ばれた。」
「ヤツらとか、実験って一体なんのこと!?」
「君が知る必要はない。命があるうちに逃げるんだな。」
藤宮は玲子に背を向けながら言う。そんな彼に玲子は懇願した。
「仲間がまだこの町に居るの!お願い、助けて!」
「無駄だよ。“存在理由の無い”人間はいずれ消える!」
彼は背を向けながら断言した。玲子は何がなんだかわからず立ちつくす。しかし、毅然と思い
直し、倒れた警官から銃を奪って玲子は言った。
「もう頼まない!自分で助けるわ!」
そんな玲子に藤宮は冷たく言う。
「せっかく助けてやった命を。」
「何様か知らないけど、一つだけ言わせてくれる!人の存在理由って誰が決めるのよ!!」
そう言って走り去っていく玲子を、藤宮は横目で振り返り見つめた。

その頃、田端は大勢の凶暴化した人々に追われていた。追いつめられた田端は隠れるように、
ホテルへと入っていった。屋上に向かって階段を上ってゆく間にも、周囲には携帯電話の音が
鳴り響いている。屋上に出ると転がっていたロープで急いでドアを固定した。もうあたりは
夕暮れで夜を迎えようとしていた。
「くそ!外部にさえ連絡がとれれば!」
不意に山積みされていた荷物の所から物音がした。棒を手に恐る恐る近づき覆っていた青い
シートを取り払うと、そこには震えながらひざを抱えている少年がいた。その少年こそ、田端
宛てにビデオを送った佐藤たかし君だった。
「ビデオを送った後、電話が鳴ったらみんな変になったんだ、、、
 お父さんもお母さんも、お姉ちゃんまで。。。」
たった一人で何日もそこで震えていたたかし君を田端はひしと抱きしめた。
「さぞ、怖かったろうに!」
“ガタガタッ!”その時、屋上のドアを開けようとする音がした。
「遂に来たか!・・・」
「おじさん、人は死んだらどこにいくの?天国って本当にあるのかな・・・」
哀しい目をして、たかし君は田端に聞いた。
「どうかな。でも、たかし君も、おじさんも、まだ死にやしない!・・・!?天国!」
田端は何かを閃いたように言った。
破られそうになるドアを必死に押さえながら田端は、たかし君に荷物の中に埋もれていた電球
を並べさせた。全ての電球を並べ急いでスイッチを入れると、それは“SOS”の形に灯った。
「頼むXIG!これを見つけてくれ!」
既に暗闇に覆われた上空を見つめ田端は叫んだ。

調査に来た我夢がファイターEXの窓越しに、SOSの光を見つけ、急行する。
「天からの助けだ!」田端とたかし少年は喜ぶ。町に戻ってきた玲子もファイターを見つけ手
を振った。しかし、その時、誰かが背後から玲子の首を締め付ける。なんとその男は倫文だ。
絶叫する玲子の声を田端は聞いた。「なぜ戻ってきたんだ。。。」
その玲子の叫びを藤宮も聞いていた。
突如、空からクラゲ上のメザードが姿を現した!波動生命体のメザードは実体を複数の場所に
同時に現しながら目をくらます。しかし我夢は予期していたかのごとく沈着に攻撃を開始した。
「もうその手は通用しないぞ!パイロットウェーブ発射!サイドワインダー発射!」
複数の実体は1つに収束し、我夢の攻撃が見事命中、メザードは炎につつまれ落下していった。
しかし、メザードは今度は甲羅が骨格状のカメのような姿に変形し死んではいなかった。
我夢はファイターに取り付けたPALに自動操縦を任せ、ガイアへと変身した。
「ウルトラマンガイアだ!」たかし少年は喜び叫んだ。
だが、ガイアはサイコメザードに空から攻撃を受け苦戦する。地上に降りたサイコメザードは、
怪しく輝く目を振動させ高周波音を出した。すると操られた人々が怪獣の周囲に集まってきた。
攻撃できないガイアは、サイコメザードから伸びた手に捕まり、なすがまま電気ショックの
攻撃を受けてしまう。倫文を“殴り倒した”玲子はガイアのピンチを救おうと、拳銃を怪獣に
向けて撃った。首に命中したが怪獣にとっては蚊が刺した程度のことだ。サイコメザードは、
玲子に向けて手から光弾を放った!「あっ!」と玲子が顔を覆う。
その時、漆黒の闇の中、一面にまばゆい光が青く広がった!徐々に消えてゆく光の中から現れ
たのは、玲子を守るように身を屈めたアグルだった。アグルはチラと横目で玲子を見ると余裕
の構えでサイコメザードに向かい投げ飛ばす。しかし周囲の人々のことなど気にも留めていな
い戦い方だ。アグルは頭部からフォトンクラッシャーを放ち、一気にサイコメザードを葬る。
瞬間、ガイアは身を投げ出し自ら盾になって、粉々に砕け散る肉片から周囲の人々を守った。
アグルは何事もなかったかのように空に飛び去り、ガイアもまた光となって消えた。。。
危機は去り、静かな夜の闇に覆われた、いつもの温泉街にもどった。
たかし少年を背に、玲子のところへ駆けつけた田端は言う。
「もう一人の巨人・・・奴も俺たち人間の味方なのか・・・」
玲子は自分に言い聞かせるかのように断言した。
「絶対、そうよ、、、」

城岩町に平和な朝が訪れた。
しかし我夢は晴れない面持ちで藤宮の声を思い出していた。
『折角の力を有効に使えない。それがお前の弱さだ。』
XIGナビの呼出に我夢が応答すると、堤チーフからの連絡だった。
「いつまで現場に残ってる。早く戻ってこい。」
気を取り直して、我夢は元気に走り出しファイターに戻っていった。
KCBの3人も川のほとりで、互いの無事を喜んでいた。
玲子が「今回の取材で報道部に帰り咲けるんじゃない!」とはしゃいだ。
田端も「俺が命懸けで撮影したテープもあるしな!」と嬉々として言う。
しかし、倫文が「何も映ってないんすよ〜。。。ノイズばっか。。。」と残念そうに言った言葉に、
「俺の努力、、、全て無駄だったのか・・・」
と、田端はガックリと肩を落す。
「・・・でもないと思うけど。。。ほらっ」
玲子は、川を挟んだむかいから、元気に手を振る佐藤親子の姿を見つけ笑みをこぼした。


次回予告

反宇宙からの挑戦

地球を、太陽系を、宇宙を、すべてを変えていく恐怖の大王「アンチマター」。
ガイアとアグルの最強タッグは君の明日を救えるのか?


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