ダイナ最新話感想

第38話

怪獣戯曲

放映日

1998年5月30日

登場怪獣

ブンダー


脚本

村井 さだゆき

監督

実相時 昭雄

特技監督

佐川 和夫


感想

ちょっと「あらすじ」を・・・。

「来る!怪獣ブンダーが来る!」

街でそう叫びながら倒れた男がいた。
男はまるで予言したかのように、空の裂け目から
まるでバベルの塔の形をした怪獣が舞い降りてきた・・・。

TPCメディカルセンターに男は収容された。
アスカとカリヤは、男を看病しているマユミと会った。
マユミがいうには、その男は記憶喪失になっているのだった。
マユミは、男の所持していたものをデジタルカメラに撮影していた。
それを見ていたカリヤは、写っていた鍵の束を渡すよう
マユミに言った。

アスカとカリヤは、劇作家「ナルミヒロヤ」の家へと向かった。
カリヤは、収容された男が誰だか分かっていた。
男はナルミの「執事」兼「俳優」であった。
男が口にしていた怪獣「ブンダー」とは、ナルミの幻の
戯曲「怪獣戯曲」に登場する怪獣の名前であった。
「怪獣戯曲」は、途中まで演劇雑誌に掲載されていたが、
終幕は発表されなかった。
噂では、ナルミが終幕が気に入らないので破り捨てたという。
そのナルミの考え出した「ブンダー」が現実の世界に現れたのであった・・・。
ナルミの部屋にはオカルト的な道具がいくつも置かれていた。
アスカは、ナルミの机の上からフロッピーを発見する。
「TPC地球平和連合 S/GUTS No.115042」
それと、終わりのない「怪獣戯曲」の本が発見される。
その中には鏡のように光る紙が挟まっていた。

S−GUTS作戦室にはカリヤから連絡が入っていた。
ナルミの日記によると、生命想像の謎を解き錬金術で怪獣を作り出したのだった。
またその日記には、ブンダーを倒す秘密は娘に託し封印したとも書かれていた。

カリヤはアスカを残し、TPCメディカルセンターへと戻った。
アスカはナルミの部屋を捜索しているうちに短い上り階段を見つけた。
その階段を上り、ドアを開け中へ入った。
扉の向こうには床はなく、アスカは下へと落ちていくのであった・・・。

カリヤは、男の謎を解明できそうな物を病室へ持ち込んだ。
カリヤが「怪獣戯曲」の本を眺めていると、その背表紙を見た男は、
「みえる」とつぶやいた。
男に何か思いだしたのか、必死の気持ちで聞き出さそうとするカリヤを押さえて
マユミは聞いた。

 「いい、落ち着いて。何が見えるの?」

男はいった。

 「ぶ・た・い」

ナルミは記憶喪失だったその男を拾った。
19世紀初頭、突如ドイツのニュルンベルグに現れた記憶喪失者「カスパー・ハウザー」なる
少年になぞらえた。
ナルミには錬金術で怪獣を蘇らせるため、妄想を現実に変えるために、
記憶喪失の「無の闇」が必要だったのだ。

まさに今、ナルミは街全体を舞台とし「怪獣戯曲」を演じていたのであった・・・。



今回は、実相時の映像マジックの世界に引き込まれた30分でした。
ティガの「花(第37話)」では歌舞伎の要素を取り入れたのに対して、
今回は戯曲の要素を取り入れるという、芸術的評価は間違いなく高い作品に仕上がっています。
しかし、こういった世界に知識のない私にとってはちょっと難しかったですね。
それでも、実相時ワールドは引き込む力を持っているから不思議ですね。
大人のためのウルトラマンダイナ」、ウルトラファンへのプレゼント的要素を持ったストーリーでした。
そういえば、ティガの「夢(第40話)」で佐野史郎さんへの出演を希望されていて、スケジュールの
都合で実現しなかったそうですが、今回も出演されませんでしたね。

映像効果として、いろんな試みをしていました。
「ゼレット」に乗ってナルミ邸に向かって行くところや、アスカがドアを開けて落ちていくところなど、
アメリカンコミックのようなマンガが使われていました。
それと、お得意の幻想の世界のような映像効果。夢なのか現実なのか分からなくさせる効果。
見事としか言いようがありません。

アスカが見つけたフロッピーには、ナルミが考えたと思われるS−GUTSの隊員データーが
記載されていました。一人一人のデータには写真ではなく絵が載っていましたが、名前は
全く違うものでした。

 ・「ヒビキ」 −> 「アオキ タダユキ」
 ・「コウダ」 −> 「ツカモト ゴウイチ」
 ・「カリヤ」 −> 「イシグロ マサヒコ」

・・・だれか有名な人の名前なんですか?それともスタッフで似ている人??

実相時作品ではお馴染みのチナ坊ですが、今回はS−GUTSのスーツを着てましたね(^_^)。
とてもかわいかったです。

怪獣ブンダーは最初バベルの塔のような形で登場します。バベルの塔は

実現できそうもない空想的な計画

という意味としても使われるそうですが、結局ブンダーはダイナによって消滅してしまう
という意味も込めてわざわざバベルの塔のような形にしたのでしょうか?
・・・今回の話は奥が深すぎて、感想を書くのにも慎重になってしまう・・・(^_^;)。

そういえば、ブンダーが変形したときS−GUTS司令室で鳴っていた警報は「ウルトラ警備隊
のものではないですか?いろいろ仕掛けがあって見ている方をゾクゾクさせますよね。

ダイナの登場シーンはとてもかっこよかったです。あの地面に降り立ったときに舞い上がる
砂埃と、スローモーションでの映像がダイナの重量感を見事に引き出していました。
怪獣との戦闘シーンは、川の方を観客席(つまり我々お茶の間の人々側)として舞台を繰り広げ
ているようでした。また、いろんな映像技法を使用した幻想的な戦闘シーンは、お馴染みの
ものですね。
そういえばあの戯曲の本の隠し絵、ほしいなぁ・・・。

ダイナの中の実相時作品というより、実相時作品の中でダイナを描いたという感じでした。


さて、次回はあのダイゲルンの再登場です!!・・・なんで?DNAで再生・・・??

次回予告

青春の光と影

またもやダイゲルンが大暴れ!
DNA科学者がしくんだ恐怖の計画とは?あいつだけは絶対許せない!



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